
家庭用蓄電池の購入を検討しているものの、相場がよくわからないことでお困りではないでしょうか。蓄電池は、ほかの一般的な家電のように、価格比較サイトなどでの価格比較ができませんよね。
実のところ、蓄電池の価格はメーカー、機種、蓄電容量だけでなく、販売店や工事費用などでも差がつきます。
つまり、どこで買うか、どこに設置するかで費用が違ってくるから一般化しづらいという事情もあり、蓄電池の相場は把握しにくいのです。
とはいっても、費用感の検討もつけないうちに、契約を前提にした相談に向かうのは、トラブルの元になりそうですよね。「お得な気がして契約したのに実は割高で、無用なお金を支払うはめに……。」なんて、お金の失敗をしていただきたくはありません。
今回は、家庭用蓄電池の価格相場について、製品ごとのおおよその価格を紹介します。工事費用の関係上、絶対にその価格で設置できるとは言い切れませんが、大まかなお買い物計画はイメージできるかと思います。
その上で蓄電池を安く買う方法についても紹介いたします。ぜひ、最後までご確認ください。
蓄電池の設置費用はどれくらい?
蓄電池を設置する際の初期費用は「購入費用」と「工事費用」の2つに分けられます。
「購入費用」とは蓄電池の本体価格のことです。金額は蓄電池の蓄電容量やメーカーによって異なりますが、一般的に、50万~140万円程度が相場です。
「工事費用」とは蓄電池を設置する施工業者に支払う費用で、設置場所の事前調査や基礎工事、および、購入した蓄電池の取り付けや配線といった設置工事にかかる費用をいいます。設置業者によって多少の違いはあるものの、工事費用の相場は一般的に20万~30万円程度です。
よって、蓄電池を設置するにかかる設置費用の合計は、80万~160万円程度が相場といえます。
蓄電池の設置工事で行われること
蓄電池を購入したら、施工業者に依頼して取り付け工事をしてもらう必要があります。ここでは、設置工事の流れについて4工程に分けて説明します。
現地調査
家庭用蓄電池は、産業用と比べて容量が小さい分、発火や爆発といった危険性は低いものの、蓄電池を設置できる場所の基準が消防法に基づいて定められています。そのため、蓄電池を設置する場所が消防法の基準に適合するかどうかについて、メーカーや施工業者に事前確認をしてもらう必要があるのです。
【蓄電池の主な設置基準】
- 床は燃えにくく頑丈にできているか
- スペースが十分にあって通気性を確保できるか
- 倒れたり落下したりする危険性はないか
- 浸水する恐れはないか
上記にくわえて、分電盤やリモコンなどの周辺機器と配線できるかも確認します。太陽光発電設備と併せて使用する場合は、その設備や位置関係、配線経路なども確認しなければなりません。
基礎工事
庭など屋外に蓄電池を設置する場合、基礎工事が必要になる場合があります(室内に設置する場合は不要)。
基礎工事では、設置後の転倒や浸水を防止するために、水平でしっかりとしたコンクリートの土台を作ります。蓄電池の機種によってはエアコンの室外機を載せるような簡易基礎の使用も可能です。簡易基礎なら大規模な工事は必要ありません。
簡易基礎が使える機種の蓄電池は、シャープやパナソニック、京セラ、ニチコンなどが取り扱っています。以下の記事を参考にしてください。
取り付け・配線工事
設置場所の準備ができたら蓄電池本体を組み立て、基礎や壁面とボルトで固定します。取り付けた後は、パワーコンディショナ・コンバータ・分電盤などの機器と配線をつなぐ作業です。太陽光発電設備と併用する場合は、太陽光発電設備と蓄電池、それぞれのパワーコンディショナを接続します。
機器の設定
蓄電池の設置後にする作業が各種設定です。蓄電池の動作モードなどを、付属のコントローラで設定します。
蓄電池の動作モードとは、太陽光発電の売電を優先するモード、蓄電池への充電を優先するモードなどです。その他、停電時に備えて常に蓄電池に遺しておく充電量の設定もできます。同時に、不具合が起きたときの対応方法も確認しておくとよいでしょう。
最後に、蓄電池が正しく動作するかを確認して、設置工事は完了です。
家庭用蓄電池の価格を比較して相場を知ろう!
家庭用蓄電池の価格相場を製品ごとに紹介しますので、それぞれの価格を比較してみましょう。なお、価格相場には工事費も含まれています。
製品 | 容量 | 価格相場 |
---|---|---|
オムロン「住・産共用フレキシブル蓄電システム」 | 9.8kWh | 約142万8000円 |
京セラ「EGS-LM72BⅡ」 | 7.2kWh | 約141万7000円 |
シャープ「クラウド蓄電池」 | 4.2kWh | 約122万8000円 |
パナソニック「リチウムイオン蓄電システムスタンドアロンタイプ」 | 5kWh | 約80万円 |
NEC「小型蓄電システム」 | 7.8kWh | 約161万4000円 |
東芝「エネグーン」 | 6.6kWh | 約151万9000円 |
Qセルズ「ハイブリッド蓄電システム」 | 5.6kWh | 約100万円 |
Looop「Looopでんち蓄電ハイブリッドシステム」 | 4kWh | 約89万8000円 |
算定価格は「基準価格」と「目標価格」で示されます。「基準価格」とは市場価格をもとに国が定めた価格のことで、実際の販売価格に近い値です。「目標価格」とは、「この価格にできるまでコストダウンするように」と企業努力の目標として国が設定した価格のことです。
以下の表の算定価格は「目標価格~基準価格」という形式で掲載しています。メーカーの小売希望価格や実際の販売価格とは異なりますが、相場を知る上で参考にすることができるでしょう。
製品 | 容量 | 算定価格 |
---|---|---|
エリーパワー「定置型蓄電システム・パワーイエ6EPS-11」 | 6.2kWh | 約64万4000~141万7000円 |
長州産業「リチウムイオン蓄電システムCS-LPD50A1」 | 5.0kWh | 約54万9000~109万7000円 |
田淵「ポータブル蓄電システムESC-C-S50B-LB」 | 5.0kWh | 約54万9000~109万7000円 |
ニチコン「系統連系型蓄電システムESS-U1N1」 | 7.2kWh | 約73万~155万7000円 |
価格相場はメーカーや容量、機能、寿命、保証などによって異なります。単純に安いからよい訳ではないので、それぞれの性能を比べて、自分に最適な製品を選ぶことが大切です。
家庭用蓄電池 1kWhあたりの価格が最も安い機種は?

比較しやすくするために、製品ごとの1kWhあたりの価格相場を安い順に紹介していきます。それぞれの価格相場には工事費も含まれています。
製品 | 1kWhあたりの価格相場 |
---|---|
オムロン「住・産共用フレキシブル蓄電システム」 | 約14.6万円 |
パナソニック「リチウムイオン蓄電システムスタンドアロンタイプ」 | 約16万円 |
Qセルズ「ハイブリッド蓄電システム」 | 約18万円 |
京セラ「EGS-LM72BⅡ」 | 約20万円 |
NEC「小型蓄電システム」 | 約21万円 |
Looop「Looopでんち蓄電ハイブリッドシステム」 | 約22万円 |
東芝「エネグーン」 | 約23万円 |
シャープ「クラウド蓄電池」 | 約29万円 |
次に挙げる価格相場は、環境共創イニシアチブによる算定価格から1kWhの価格を算出しているため、参考程度としてください。
製品 | 1kWhあたりの算定価格 |
---|---|
ニチコン「系統連系型蓄電システムESS-U1N1」 | 約10~12万円 |
エリーパワー「定置型蓄電システム・パワーイエ6EPS-11」 | 約10.2~23万円 |
長州産業「リチウムイオン蓄電システムCS-LPD50A1」 | 約11~12万円 |
田淵「ポータブル蓄電システムESC-C-S50B-LB」 | 約11~12万円 |
一般的に、容量が大きく、機能性や保証が充実しているほど、相場価格が高くなる傾向があります。価格だけでなく、家庭で使いたい容量や機能、保証期間などを比較して検討するといいでしょう。
蓄電池メーカーについての詳細は、以下の記事にまとめております。
蓄電池の補助金

蓄電池を導入するなら、できるだけ補助金を利用して導入費用を抑えましょう。蓄電池の補助金制度は基本的に国や地方自治体で設けていますが、実施していない年度もあります。かならず、最新情報を自治体の窓口やHPで確認しましょう。
補助金の対象となる蓄電池
蓄電池の補助金対象になるのは、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されている機種です。対象機種を出しているメーカー名をチェックしておきましょう。
補助対象メーカー(2020年時点)
補助金が欲しいなら、慌てて購入してはだめ!
補助金制度は国・地方自治体ともに、先着順での受付が一般的です。申請を早くしないと予算が終わってしまい、申請期間中でも当年度分の受付が終わってしまう可能性があるということです。
ですが、慌ててはいけません。
補助金交付が決まる前に契約・発注された蓄電池は、多くのケースで補助の対象外になります。
補助金の申請をして審査が通り、交付が決定してから蓄電池を契約する流れにするべきか、最新の補助金情報を事前によく確認することが大切です。
補助金の相談をするのに最適なのはここ!
あなたが使える補助制度や手続きについては、蓄電池の販売施工店に相談するのがベストです。なぜなら、蓄電池を設置するエリアに精通している事業者なら、市町村レベルの補助制度も対応できるからです。
蓄電池の設置費用の違い
ポータブル型と定置型
蓄電池はポータブル型と定置型の2タイプに大別され、設置費用と機能はタイプによって異なります。ここでは、それぞれの種類の特徴と設置費用について説明します。
ポータブル型
ポータブル型は、購入後に自分で家庭用コンセントにつないで充電するだけのシンプルなタイプのため、施工業者による設置工事などは不要です。価格相場も数万~数十万円程度と、比較的安い価格で購入できます。
ポータブル型の蓄電容量は200~500Wh程度の機種が一般的です。200Wh前後の機種は主にレジャー用のため、自宅の災害対策としては500Wh以上のものが適しています。
ポータブル型蓄電池は電気系統から独立しているため、太陽光発電の蓄電などには使用できません。
定置型
定置型は、下見によって決められた場所に設置する4kWh以上の蓄電池です。太陽光発電設備と接続して蓄電が可能であり、この記事で説明している蓄電池は原則として定置型を想定しています。設置費用の相場は100万円前後です。
定置型蓄電池はポータブル型よりもサイズが大きく、パワーコンディショナなどと接続するための配線工事や電気工事が必要です。基礎や壁などにしっかりと固定して設置するため、設置後に設置位置を変更することは基本的にできません。
家中すべての家電に電気を供給するか、しないか
蓄電池のタイプには特定負荷型と全負荷型という分け方もあり、設置費用は、それぞれで異なります。ここでは、それぞれのタイプの特徴と設置費用について説明します。
特定負荷型(蓄電池の電気が使える家電に制限あり)
特定負荷型とは、停電の際にあらかじめ設定しておいた箇所だけで蓄電池の電気を使えるタイプです。たとえば、冷蔵庫やテレビなどを接続しているコンセントだけは停電時でも使えるようにするといった設定を事前にしておきます。特定負荷型で停電時に使える回路数は、一般的に1つか2つです。
特定負荷型は全負荷型と比べて安く設置できるため、費用を抑えたい家庭に適しています。
全負荷型(蓄電池の電気が家中の家電に使える)
全負荷型とは、停電した場合でも全回路でふだん通りに電気を使えるタイプの蓄電池です。蓄電池に貯めた電気を家全体のコンセントに送電できるため、リビングから寝室やキッチンなど、どこでも家電が使えます。その分、大きな蓄電容量を必要とするため、設置費用は特定負荷型より高額になります。
全負荷型は、オール電化住宅や小さい子どもがいるなど、電気の供給が完全に断たれてしまうと生活の大半が成り立たない家庭におすすめです。
蓄電池の価格は見積りを取ってみないとわからない
蓄電池の価格は、実際に見積りを提示されてみないと、いくらになるのかわかりません。そもそも、蓄電池を設置するためには、本体価格のほかに設置費用や電気系統の工事費用もかかるのです。そのため、施工店によって見積りの価格に差が出てしまいます。
さらに、見積もり価格に差が出るのはこうしたパターンがあります。
- すでに太陽光発電がついている
- 一緒に太陽光発電をつける
- 有償メンテナンスをつける
太陽光発電と蓄電池を併用するときは、ハイブリッドタイプの蓄電池が最適です。ハイブリッド蓄電池とは、太陽光発電と蓄電池のパワコンを1台にまとめたもので、電気のロスを最小限にできるのが特徴です。
すでに太陽光発電をつけているご家庭で、後付けする場合もハイブリッド型を選ぶ可能性があります。太陽光発電の設置から10年経ってパワーコンディショナが寿命を迎えている場合、ハイブリッド蓄電システムを選ぶと、ついでに買い替えが済んでしまうからです。
ハイブリッド蓄電池と通常タイプは少し値段が違いますが、太陽光発電のパワーコンディショナと蓄電池のパワーコンディショナをそれぞれ買うよりもお得な可能性が高いです。
また、設置後のメンテナンス費用については、有償で長期オプションをつけられるケースや、販売店独自の保証サービスを選べるケースがあります。これも初期費用に影響する要素ですね。
このように、ご家庭や販売店それぞれの事情によって、蓄電池のトータル費用が変わってきます。面倒にお思いかもしれませんが、複数社から見積りを取って、価格を比較するのが最安への近道です。
蓄電池の買い時は今? まだ待つべき?
経済産業省・資源エネルギー庁が2017年3月に作成した資料によると、家庭用蓄電池は今後、本格的に普及し、それにつれて安く導入できるようになる見込みとされています。
たとえば、寿命10年の蓄電池における目標価格は、2017年度が15万円/kWh、2018年度が12万円/kWh、2019年度が9万円/kWh、2020年度が6万円/kWhです。あくまでも目標価格のため、実際の購入価格と一致するとは限らないものの、価格がどんどん安くなっていくことは確実でしょう。
3年前と比べて半額程度になっている今は、蓄電池の導入を検討してみる時期としては良いタイミングといえます。
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蓄電池を安く買うには、できるだけ多くの業者で価格を比較する必要がありますが、業者にそれぞれ個別に見積もり依頼するのは大変な手間になってしまいます。中にはしつこくてイヤなセールス態度の事業者が来てしまうリスクもあるでしょう。
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