蓄電池は、充電して再利用できる便利な電池として多くの機器に使用されています。
普及が広まりつつある太陽光発電システムのパワコンにも、蓄電池が使用されているのです。そんな中、電気自動車メーカーのテスラ(テスラ・モーターズ)が、家庭用蓄電池『パワーウォール2』を発売しました。
世界中からその性能と価格の安さについて謡われていますが、日本では実際に流通しているという話があまり聞こえてきません。
日本では、オムロン、ニチコン、スマートスターといった家庭用蓄電池が人気ですが、テスラの人気はどうなのでしょうか?
グローバル展開するテスラの蓄電池についてみていきましょう。
※この記事は、テスラの蓄電池に関する解説記事です。広告ではございません。タイナビおよびタイナビ蓄電池では、商品情報や販売状況に関する質問は一切受付けておりませんのでご了承ください。
優れた性能と低価格を実現! テスラの「パワーウォール2」
2016年11月、テスラが発表した製品が「2170セル」と呼ばれる円筒形のセル(単電池)です。
このセルを利用して、家庭用の定置型蓄電池「パワーウォール2」やオフィス用の蓄電システム「Powerpack 2」などが製品化されています。
パワーウォール2は、13.5kwhで価格は1,290,000円(税抜)です。ただ、パワーウォール2は設置方式が壁掛け方式となっており、重量125 kgの蓄電池を日本の木造住宅にそのまま壁掛け設置する為には壁の補強工事が必要かもしれません。
※工事費は含みません。
テスラ社の家庭用蓄電池「パワーウォール2」の性能と価格の安さを検証
家庭用蓄電池の相場は、2024年現在の約100〜160万円です。実際に蓄電池を購入する場合、設置工事や既存の太陽光発電機器の有無などで、導入費用が異なります。
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テスラのパワーウォールは「直販モデル」により低価格を実現!
テスラが販売しているパワーウォールなどの蓄電池は、「直販モデル」という販売方法を採用しています。
直販モデルとは、販売元と消費者を直接繋げ、中間に卸業者などを一切通さない販売システムです。
パソコン業界ではDellがこの方法を導入し、通販ではAmazonが直販モデルを採用している通販サイトとして有名です。
直販モデルの最大のメリットは、余計なコストを抑えることで、消費者により低価格で製品を提供できる点です。
テスラのパワーウォール2は、13.5kWhで1,290,000円(税抜)という価格設定で、日本の蓄電池メーカーの製品よりもかなり手頃な価格で提供されています。
テスラがこの低価格を実現できたのは、直販モデルの効果と言えるでしょう。しかし、日本の蓄電池メーカーも近年価格を引き下げており、その価格差は徐々に縮まってきています。
蓄電池の市場拡大に伴いテスラのパワーウォールも普及!
蓄電池における世界市場の規模は、将来的に拡大していくと予想されます。
調査会社の富士経済が2018年5月17日に発表した予測によると、電力貯蔵向け二次電池(いわゆる蓄電池)について、2030年には住宅用蓄電システムは2,453億円規模の市場となる見込みです。
2017年と比べるとなんと4倍になる予測です。
特に日本では、以下のような理由により自家消費目的用に需要が増えると見込まれています。
- 自家消費用の再生可能エネルギー発電設備の導入に際し、補助金制度が利用出来る
- 2009年から開始された固定価格買取制度(FIT)によって売電を開始した家庭で、2019年に終了する家庭が約50万件出てくる
従来の場合、家庭用蓄電池は非常用電源としての用途が主流でした。
しかし、近年は再生可能エネルギーの普及促進が進み、自家消費用に太陽光発電と組み合わせて使う(太陽光発電で充電した電力を住宅用蓄電池に貯めておき、電気料金の高い日中に使用する)家庭も多くなっています。
また、売電目的で住宅用太陽光発電を設置した家庭で、売電期間が10年経過した後は、今より太陽光発電の売電単価が下がる可能性もあります。
そのため、蓄電池を導入して自家消費用として太陽光発電を活用したほうがお得になるかもしれません。
また、2022年は日本中で地震・台風・集中豪雨などの影響で停電が頻発しました。
太陽光発電や蓄電池を設置している家庭では、停電時に電気を利用できたという報道があった影響で、非常用電源としても再び注目されています。
FIT期間終了後は、売電単価が非常に低くなることが多いのが現状です。
先がみえないという不安もありますので、太陽光発電を設置している方は、蓄電池を導入しておいたほうが安心でしょう。
一方、インドやアフリカなどのインフラが不安定な国では、独立用電源としての需要が高まっています。こうした背景から、蓄電池は今後ますます世界的に需要が拡大していくでしょう。
もちろん、テラスのパワーウォール2も、市場拡大に貢献するでしょう。
非住宅用の蓄電池市場は2030年には7.4倍に成長!? 産業用蓄電池普及も進む
富士経済の予測によると、非住宅用電力貯蔵システム(商業・公共・産業施設など住宅以外の需要)の市場規模は、2030年には2,125億円まで拡大する見込みです。2017年比で7.4倍です。北米、中南米などが中心に、日本でも市場が拡大しています。
最近では、自家消費目的での太陽光発電導入のニーズが法人企業を中心に高まっています。主な理由は以下の通りです。
- 発電設備のコストが大幅に下がったこと
- 「RE100」(事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブ)の加盟企業の増加
- 省エネ法への対応が求められていること
- 高騰する電気料金の削減が必要になっていること
これらの要因が、法人企業の太陽光発電導入の動機となっています。
今後は、非住宅用も、太陽光発電と蓄電池をセットで導入するパターンがメインになるでしょう。産業用蓄電池には、リチウムイオン電池の製品が採用されることが多いため、今後もグローバル市場ではテスラ・LG等の海外メーカー、日本市場ではニチコン・エネマン・シャープ等の日本製品の普及が進んでいくでしょう。
世界一の生産工場「ギガファクトリー」でパナソニックと提携して生産
テスラは、2014年6月に、アメリカネバダ州スパークス郊外にリチウムイオン電池の生産工場「ギガファクトリー」を建設しました。ギガファクトリーは約17万6500平方メートルもの面積を誇り、大量生産可能な敷地を有しています。
さらにパナソニックと提携し、2017年1月からリチウムイオン蓄電池の量産を開始しました。その過程には、トップレベルの変換効率を持つ「HIT太陽電池」※1のセル製造技術が駆使されています。
※HIT太陽電池とは、英語で「Heterojunction with Intrinsic Thin-layer」といい、最高レベルの高効率性を持つ太陽電池でのことです。
2018年、ギガファクトリー1におけるバッテリー生産は年間でおおよそ20GWhに達し、世界最大のバッテリー生産工場となっています。
今後、生産量が増えるにしたがってリチウムイオン電池のセル生産コストも段階的に低下し、テスラが販売する蓄電池製品の値段も段階的に下げられていくでしょう。
リチウムイオン電池を大量生産するためには、設備投資できる資金と生産の技術が必要です。それを考慮すると、テスラのような高い技術力を誇る電気自動車メーカーは、リチウムイオン電池を生産するには最適といえるでしょう。
シレボ社からパナソニックとの提携に切り替えた理由
もともと、テスラはアメリカにある太陽電池ベンチャーの「シレボ社」と提携し、シレボの技術を使用し電池を製造する予定でした。また、それにより1,500人ほどの雇用も生み出す予定となっていました。
しかし、実際には雇用は500人ほどに留まり、シレボ社の技術製造も上手くいきませんでした。その代わりとしてパナソニックのHITを使うことになり、パナソニックとの提携が実現したのです。パナソニックとしても、海外拠点が出来るという点でメリットのある提携でしょう。
テスラの「パワーウォール2」日本における普及の課題
テスラのパワーウォール2は、国内のメーカー製品と比べると、デザインも良く、蓄電池単体の価格としては低価格です。
課題としては、壁掛けであるため木造住宅への設置の場合壁の補強工事が必要になる可能性があること、設置済みパワコン機器との相性、蓄電池の保証などの問題があります。
既に太陽光発電を設置済みであれば、太陽光発電メーカーが提供するシステム保障に皆さん加入されているかと思いますが、外資系メーカーの蓄電池を採用する場合に、太陽光発電のシステム保証が適用できない可能性があります。
この点は設置する際に、必ず確認する事をお勧めします。
蓄電池と太陽光発電はセットで導入がおすすめ
パワーウォールの販売前予約は38,000台もあり、すでに販売も世界中で開始されています。
日本でもすでに予約販売が開始されており、予約待ちの方も多いかもしれません。
グローバルで蓄電池市場を牽引しているテスラのパワーウォール、日本市場でも多くの日本メーカーが安価で蓄電池を販売し始めています。
これを機会に蓄電池導入を検討してはいかがでしょうか?
蓄電池を導入するなら、太陽光発電と同時の導入をおすすめします。
太陽光発電システムで発電して蓄電池に貯めておけば、停電時や災害時などに電気を使用することができます。
蓄電池と太陽光発電を併用することで互いのメリットを最大限に活かすことができますが、導入費用が気になるところですね。
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