訪問販売トラブル

蓄電池の訪問販売に関するトラブルに注意が必要です。国民生活センターに寄せられた訪問販売全般に関する相談件数は、2017年度で7万件以上に及びます。

特に蓄電池は、近年の災害などで関心が高まっており、不安を煽る・ウソを織り交ぜたセールスに警戒が必要でしょう。以前に流行った太陽光発電の手口では、タイナビでの一括見積りと100万円も差がでる高額請求の事例があります。

すでに太陽光発電を設置している人も、2019年問題や電気料金の削減効果など様々な情報が交錯しており、だまされないための正しい知識が重要になってきます。

今回は、蓄電池の訪問販売で注意すべきトラブルの事例と、すでに納得できない契約をしてしまった場合の対処法を説明します。

こんな訪問販売には要注意!注意すべき事例

要注意訪問販売

訪問販売は不意に訪れるセールスで、心と知識の準備ができていないまま契約してしまうケースがあります。注意すべき訪問販売の事例に近い状況では、不用意に契約しないように気を付けましょう。

強引な契約

強引に契約を迫る業者は、その場で契約させたがって何時間も居座る、キャンペーン期間など厳しい期限で契約を迫るなどの事例があります。

強引に迫るのは「高額な見積もりで契約を押し切る」という目的があるためで、消費者にとっては大きなリスクになります。

すぐに帰ってくれたとしても、何度も訪問してくる業者にも注意が必要です。消費者が契約の意思がないことを伝えた場合には、「特定商取引法」により勧誘を続ける行為が禁止されていることも知っておきましょう。

ウソの説明をする

ウソの説明で契約を迫る事例もあります。蓄電池の場合、これらの真実ではないフレーズに注意してください。

  • 太陽光の高値での買取制度が終了する
  • 「2019年問題」で売電できなくなる
  • 蓄電池で自家消費しないと損する
  • 太陽光は必ず蓄電池を付けなければならない
  • 電気料金の節約額で必ずもとが取れる
  • ほかの業者ではこれほど安い価格では買えない

これらのウソを見破るには、本当の情報と、消費者としてどうするべきかを知っておかなければなりません。

チェックリスト

2019年問題は、住宅用太陽光発電でFIT(固定価格買取制度)を始めてから10年で、制度で定められた価格での売電はできなくなります。電力会社の卒FIT電力買取サービスを利用して、売電を継続できます。

蓄電池と太陽光発電を併用して再エネ電気の自家消費が推奨されているのは事実ですが、設置は義務ではないことも知っておきましょう。

そして、売電や電気料金の節約で蓄電池の元を「必ず」取れると軽々しく言い切るのは警戒に値します。複数の業者できちんとシミュレーションしてもらい、明らかに計算がおかしいところでの契約を避けましょう。

他の業者ではこれほど安くできないと言うなら、それこそ相見積もりで確認してみるべきなのです。

重要な情報を説明しない

失敗

重要なことを説明せず、消費者の不利益が潜む契約をさせようとする事例にも注意が必要です。「モニター価格」「キャンペーン価格」「工事代無料」といった、一見お得に見えるサービスなどで見積もりをごまかす手法もあります。

値引きのトータル金額を多く見せかけてごまかそうとする事例もあることを忘れてはいけません。実際に設置する場合には、相場よりも高くなるケースもあるため注意が必要でしょう。

先に解説したキャンペーン期限や限定サービスで契約を煽り、判断力を失わせる手口との合わせ技も問題です。一旦立ち止まって、慎重に検討しましょう。

訪問販売で提示された見積りが適正価格なのか比較するには、ほかの業者の見積もりも入手し検討するのが効果的です。

すでに契約を済ませた方の見積り依頼は、断られることもあります。訪問販売の勢いで契約してしまった場合、クーリングオフができる可能性が高いので、一旦解約して冷静になる時間を持ちましょう。

訪問販売はクーリングオフで解約できる

クーリングオフ

訪問販売の契約後でも、「クーリングオフ」が適用される期間内であれば、消費者は無条件で解約できます。クーリングオフとは、一度契約しても一定期間内なら契約の撤回や解除ができる制度のことで、その際に必要な条件などはありません。

訪問販売の場合は、申込書面や契約書面を受け取った日のうち、早い方の日から起算して8日間がクーリングオフ期間となっています。書面の内容に不備がある場合なら、所定の期間が過ぎてもクーリングオフが適用されることも覚えておきましょう。

クーリングオフを行う場合は、期間内に必ず書面で行わなければなりません。特定記録や書留など、送付したことが証明できる方法で通知することが重要です。手続きの詳細は国民生活センターの公式サイトで確認しましょう。

蓄電池をクーリングオフする方法

送付

2022年6月より、クーリングオフは書面やFAX以外にメールなどインターネット上で行うことも可能になりました。書面で手続きをするには、契約年月日や契約者名、蓄電池の製品名と金額、クーリングオフの通知を出す日を記載します。クーリングオフが適用される期限内に、書面を契約した会社へ送付しましょう。

ハガキでもクーリングオフの手続きは可能で、特定記録郵便または簡易書留などの記録が残る方法で郵送します。ハガキの両面をコピーし保管しておくことも大切です。

契約書にインターネットでクーリングオフをする方法が記載されている場合は、その方法に従って手続きできます。通知したメールや専用フォームなどの画面のスクリーンショットは必ず保存しておきましょう。

蓄電池のクーリングオフで注意すべき点

クーリングオフ

クーリングオフの通知後に、業者から脅しを受ける場合や期間中にも関わらず拒否される可能性もあります。しかし、このようなケースでは適用期間が過ぎてもクーリングオフの手続きを続けることができるので安心してください。

そもそも、クーリングできる期間は8日間とされていますが、8日を過ぎても手続きを諦めてはいけません。利益になるメリットばかりを大げさに伝えることやウソを言う、「帰って」と言っても帰らない、などの場合は8日を過ぎてもクーリングオフが適用される可能性があります。

また、クーリングオフの手続きに使った書面やメールなどは証拠になるため、郵送した記録とともに5年間は保存しておくようにしましょう。

訪問販売の問題が増加している件と事例

環境問題がクローズアップされる昨今、需要が高まる蓄電池には訪問販売による問題が増えているのが現状です。

中には国民生活センターが公表し注意喚起している事例もあります。1カ月8,000円以上の経済効果とだけ言われて195万円の家庭用蓄電池を購入したケースです。しかし、提示したシミュレーションの内容は間違っていた上に、蓄電池の寿命は4~7年でバッテリー交換の費用が80万円かかることが判明しました。

出典: 国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成 25 年度第 1 回)

ほかにも、説明された内容と実際の契約内容が違うなどの事例もあるため、訪問販売よりも複数の見積もりを比較してから検討することをおすすめします。

蓄電池の訪問販売が言いがちなウソと本当の知識

訪問販売が言いがちなウソ

蓄電池の訪問販売業者がすべて悪徳業者というわけではありません。地域に根差した信頼できる業者も確かに存在するので、悪徳業者との違いを見分けるために訪問販売で言いがちなウソを知っておきましょう。

例えば、太陽光発電がある住宅には蓄電池の設置が義務化された、というのはウソです。近年では太陽光発電は売電よりも自家消費へとシフトしつつありますが、義務化されたわけではありません。また、期間限定で半額などのキャンペーンも、実は本体価格を高くしてから過大なメリットを伝えるウソの一つと言えます。

蓄電池の容量や性能はさまざまなので、ご家庭ごとのニーズに合わせて適切な製品を選ぶのがポイントです。訪問販売の業者だけの情報を鵜呑みにせず、適切なシミュレーションで見積もりができる複数の業者を比較しましょう。

訪問販売の断り方や断るコツは?

訪問販売の断り方

蓄電池の訪問販売トラブルの相談は、消費生活センターなどに寄せられる件数が年々増えています。急な訪問販売に対応するには、断り方や断るコツを知っておくことが大切です。

  • 「お帰りください」とハッキリ言う
  • 玄関を開けない、インターフォンで対応する

普段から何かを断るのが苦手な人は、あいまいな言葉を使わないようにすると良いでしょう。

例えば「よくわからない」「もういい」などは、はっきり断っているとは言えません。何がわからないのか、と次の会話の糸口を与えてしまいます。
はじめに「必要ない」と明確に伝えて断るのがコツです。

また、玄関に出ないでインターフォンでの対応に留めるのも、訪問販売の蓄電池を断るときのポイントです。顔を合わせてしまうと、何かと話をしてしまうため営業トークに押し切られてしまう可能性もあります。

ぼったくり価格か不安なときは

決して安い買い物ではない蓄電池を、その日のうちに契約することのないように十分注意しましょう。家庭用蓄電池は設置する家によって工事費用に差があるため、一般的な相場価格というものが出しにくいものです。

資料や見積りなどを受け取った後からでも、他の販売会社たちの見積りと比較するべきです。

警察に相談するべき訪問販売の違法行為は?

強引

はっきりした態度で対応しても、断っても帰らない、強引に蓄電池をすすめてくるなど、対応に困る場合もあります。こうした行為は国が定める「特定商取引法」の違反になるため、消費生活センターや警察に相談するようにしましょう。

警察に相談するべきラインは、こういった場合です。

  • 帰ってと言っても居座る
  • 断ったのに勝手に敷地内や玄関に入ってきた
  • 尋ねても会社名や商品名を教えてくれない
  • 考える時間をくれず、契約を急がせる

また、商品を購入しないと言っているのに強引に契約を勧めてくるケースも法律違反になります。太陽光発電があるなら蓄電池の設置は義務付けられている、などのウソ情報を伝えて契約させるケースももちろん違法行為です。

さまざまな嘘の情報を見分けるためにも、普段から信頼できる業者や正しい情報を知っておくと良いでしょう。

太陽光発電があると訪問販売のターゲットに?

太陽光発電

蓄電池の訪問販売業者は、太陽光発電のある住宅をターゲットにすることが多いです。なぜなら、太陽光発電と蓄電池の組み合わせが最適なのは事実だからです。

ここでは、
太陽光発電のある住宅が訪問販売業者に言われがちなことや、
その真偽について解説します。

太陽光発電と蓄電池のウソ・ホント

蓄電池と太陽光発電

太陽光発電に絡めた蓄電池のセールスは、どこからどこまでが本当のことなのでしょうか。ここからは、蓄電池と太陽光発電をセットで使う利点を解説します。

ただし、メリットがあるといっても適正価格で蓄電池を買えないと過大な負担を抱える事になってしまいます。蓄電池を導入するなら、訪問販売だけで決めるのではなく、複数の業者の見積りを比較するのがおすすめです。

太陽光発電の自家消費は節約効率が段違い

蓄電池に太陽光発電で作った電気を貯めると、電力会社から買う電気の量を減らして電気代を大幅に節約できます。

特にこの数年は燃料費が高騰しており、火力発電に使う天然ガスや石油の購入コストが激増しています。燃料費のコストは電気料金に転嫁されますので、電力会社から購入する電気は値上がりしているのです。

FITの売電価格より電気の単価のほうが高いなら、売らずに自家消費がお得です。自家消費を中心にするなら、電気を貯めておける蓄電池のメリットはより大きくなるでしょう。

停電の長期化に蓄電池が効果的

停電の長期化に蓄電池が効果的

太陽光発電をお持ちなら、停電を経験したことがあるかもしれません。太陽光で発電できる日中はともかく、夜の停電でお困りになった経験があるのではないでしょうか。

太陽光発電は太陽エネルギーから電気を作ることはできますが、余った電気を貯めておくことはできません。なので、日没後の停電には対応が難しいのです。

一方で、蓄電池は電気を貯められるので夜の停電にも対処できますが、電気を使い終わったあとの充電方法が確保できるかが問題です。

停電中に発電できるけど夜は使えない太陽光発電と、夜でも使えるけど電気が途絶えていると次の充電ができない蓄電池。お互いのデメリットを補えるのが、太陽光発電と蓄電池を連携させるメリットです。

電気を作りながら自家消費できるため、長期間の停電への備えにもなります。

パワコンの買い替え時に蓄電池設置がお得

太陽光発電システムとパワーコンディショナ

太陽光発電システムはパネルやパワーコンディショナ(パワコン)など複数の装置を組み合わせるもので、太陽光パネルは25年以上使えますが、もっと早くに寿命を迎える装置があります。パワーコンディショナです。

太陽光発電を設置してから10年程度が経過しそうなら、パワーコンディショナの買い替えを検討する時です。パワーコンディショナが寿命で壊れると、太陽光パネルが発電した電気が家で使えず、電力会社に売ることもできなくなってしまうからです。

パワーコンディショナの買い替えタイミングで蓄電池を設置、とりわけ「ハイブリッド蓄電池」を選ぶと、パワコンの買い替え費用がお得になります。

ハイブリッド蓄電池はパワコンを1つ買わずに済む

ハイブリッド蓄電池

パワーコンディショナは太陽光発電に必要な設備ですが、蓄電池にも蓄電池用のパワーコンディショナが必要です。

ハイブリット蓄電池に使うパワーコンディショナは特別なもので、太陽光発電と蓄電池が共有して使うことができます。それぞれに専用のものを買う必要がありません。

つまり、太陽光発電のパワーコンディショナを買い替えるタイミングでハイブリットタイプの蓄電池を導入すると効率が良いのです。

訪問販売による蓄電池購入のトラブルを防ぐには?

訪問販売

訪問販売では、納得できないまま契約すると後にトラブルになる恐れがあります。そこで、トラブルを回避するための方法をチェックしていきましょう。契約内容や業者について、確認を十分行うためのポイントを紹介します。

契約前に価格情報を確認する

価格情報を確認する

トラブルを回避するには、蓄電池ごとの価格情報を確認することが大切です。訪問販売で業者が提示した価格が相場と比べてどうなのか、確認しましょう。価格が相場よりも高い場合は、契約せずに他の業者で購入することを検討するべきです。

補助金や助成金に関しては、地方自治体によって制度が異なるので、市区町村窓口で金額や申請期間などの詳細を確認するといいでしょう。なお、制度が終了している場合や、自治体が実施していない可能性もあります。最初に、住んでいる自治体の補助金に関する状況を確認することをおすすめします。

信頼できる業者から買う

信頼できる業者

蓄電池は信頼できる業者から買うことが重要です。優良業者を見極めるポイントはどこにあるのかを押さえておきましょう。

蓄電池の販売や設置で十分な実績があるかという点が大切です。目安としては、1000件以上の実績が示されているかを確認します。

業者が提示してきた価格は、蓄電池の相場と比較して適正なのかについても確認しましょう。そのためには、容量や大きさで異なる蓄電池の相場も押さえておかなければなりません。

保証の範囲や年数を明確に示しているか、工事費やメンテナンス費用など、本体価格以外にかかる費用の説明があることも大きなポイントになります。

契約を結ぶことを急かそうとしていないか、相手のペースに巻き込まれないように落ちついて対応しましょう。

蓄電池を上手に買うなら一括見積り

一括見積り

蓄電池の訪問販売が、必ずしも悪質であるとは限りません。しかし、中には紹介したような業者も存在することを肝に銘じ、蓄電池の購入は慎重に検討したほうがいいでしょう。実績やアフターフォローなどのサービス内容から、信頼できる業者かどうかを見極める必要があります。

タイナビ蓄電池の一括見積りには、豊富な実績を持つ信頼できる販売施工店が多数登録されています。複数の見積りを取って比較検討できるので、蓄電池ごとの相場も把握できるメリットも見逃せません。蓄電池の購入を検討するときはぜひ一括見積りを利用して、後悔のない選択をしてください。