仮想蓄電池とは

仮想蓄電サービスが2019年から始まるが、仮想蓄電池とは何か?またどのようなサービスなのか?について認知している人は、まだまだ少ないのが現状です。

2019年から卒FIT(固定価格買取制度)を迎える家庭にとって、太陽光発電による電力を、余すことなく自家消費できる蓄電池に関心がある世帯も多いでしょう。

この記事では、仮想蓄電池という新しいサービスについてメリットやデメリット、一般的な蓄電池との違いなどについて詳しく解説します。

仮想蓄電サービスとは?内容を詳しくチェック

2019年に始まった仮想蓄電サービスとは、発電した電力の余剰分の電気を電力会社に預かってもらうサービスです。ここでは、仮想蓄電サービスのサービス概要、契約条件、料金などについて解説します。

「蓄電池本体を買わずに電気代を節約できる」のが特徴

仮想蓄電池とは、発電した電力の余剰分の電気を、貯めたり売ったりせずに電力会社に「預ける」サービスです。余剰電力を自宅で貯めておくのではなく、電力会社に一旦預けておいて、別の時間帯に使うといったイメージです。

あるいは、銀行で貯蓄したお金をイメージすると分かりやすいかもしれません。仮想蓄電サービスは、電気そのものを保存するのではなく、電力量という「数字を貯める」ということです。

仮想蓄電サービスに加入すると、余剰電力は今までと同じように送電網に送られます。電力会社はその電気自体には買値をつけず、近隣の家庭などに送電して消費します。

余剰電力を流した側には、預けた電気の量が記録されます。サービスの規約に則り、貯めた電力量に相当する電気料金が無料になるか、もしくは割引価格が適用されてお得になるのです。

蓄電池の機械を家に設置しないのに「電力量」を貯められる仕組みが、仮想蓄電池なのです。

契約条件と月額利用料がある

月額料金

仮想蓄電池の契約条件は、仮想蓄電サービスを提供する電力会社などの事業者によって異なります。

FIT期間を終了した家庭用太陽光発電設備を保有していることなどの条件がある他に、電力会社が指定するサービスや、需給契約を締結していることなどがあるため、各仮想蓄電サービスの内容を事前に確認する必要があります。

また利用料は契約した電力会社や、預けられる電力の最大量によって異なるのが一般的で、預けた電力量に相当する電気料金が割引されます。

電気料金プランの単価は1kWhあたり平均27円なので、仮想蓄電サービスで電気料金を安くできれば、経済的なメリットがあります。月額料金を差し引いてもお得かどうかが重要なので、シミュレーションでよく確認しておきましょう。

仮想蓄電池と実際の蓄電池の使用イメージの違い

仮想蓄電池は、形を変えた売電サービスのようにも感じるかもしれません。しかし、電気を自家消費したときのように自宅の電気料金に作用する点で、蓄電池に近いといえるでしょう。

ここからは、蓄電池と仮想蓄電池のメリット・デメリットについて比較し、それぞれの違いをより明確にチェックしてみましょう。

蓄電池のメリット・デメリット

蓄電池のメリットについてですが、補助金が使って費用を下げられる点が大きな利点です。また、蓄電池を利用して、電気の安い夜間に電気を貯めて高い日中の時間帯に使用する「ピークシフト」という蓄電方法により、効率的に電気料金を減らせるなどの経済的利点もあります。

また太陽光発電のパワコン買い替え時に、ハイブリッド蓄電池に変えることで発電効率が良くなります。また災害対策として非常時の停電などの際に、安心して電力を使うことができます。仮想蓄電池サービスと違って、契約期間や月額料金に縛られないのもメリットのひとつです。

デメリットとして、導入時にかかる初期費用が高く、徐々に劣化していくため、いずれ買い替えが必要になることなどが挙げられます。

買い替えの目安としては、設置環境や使用条件にもよりますが、リチウムイオン電池で約4000サイクル10年程度といわれています。また、宅内や宅外に設置スペースが必要です。

蓄電池のメリット・デメリットをもっと詳しく

仮想蓄電池のメリット・デメリット

仮想電池のメリットは、初期費用が不要であること、売電よりもお得になるケースがあること(電力会社によって貯められる電気の上限や制約があるため確認が必要)などが挙げられます。

デメリットは、一般的な蓄電池のように、貯めた電気を自由に使用できるわけではないため、停電時に電気が使えないことです。

そして、仮想蓄電サービスを利用するために月額利用料がかかる点です。長期にわたって月額利用料を支払うことで、総合的にみると蓄電池設置よりも割高になるケースもあることがデメリットと言えるでしょう。

その他に、余剰電力の買い取りと電気販売がセットで提供されるので、電気料金プランの乗り換えが自由にできなくなるのも不便かもしれません。

実際の仮想蓄電池のプランの一例

仮想蓄電サービスの詳細を公表している四国電力の「ためトクサービス」は、蓄電池購入費用は0円で、月額の利用料金が2700円となっています

余剰電力を四国電力が預かり、加入者宅で自家消費したものとみなして、余剰電力量の相当分を電気料金から割引く仕組みです

仮想蓄電池に貯められる(割引が適用される)電力量は、ひと月に150kWhまでの制限があります。それを超えた余剰電力があれば、割高単価で買い取られます。

四国電力では通常、卒FITの余剰電力を7.0円/kWhで買い取っています。仮想蓄電サービス使用者の余剰電力は、8.0円/kWhで買い取られます。

150kWhの電気料金割引と割増価格での売電収入があるため、節電して余剰電力を増やすことで経済的メリットが大きくなります。

停電で使える蓄電池を安く買うには?

仮想蓄電池サービスは、初期費用がかからずに電気代の割引が受けられるので、今後人気のサービスになるでしょう。ただし、毎月の利用手数料や安い新電力プランの利用ができないこと、停電時に備えられないなどのデメリットもあることも理解しておく必要があります。

いざという備えを含め、総合的に考えると蓄電池を設置するほうがメリットが大きいかもしれません。

そこでネックなのは、蓄電池設置にかかる初期費用です。太陽光発電に蓄電池を併設することで、蓄電池の費用に国や自治体の補助金を受けることができます。相見積もりで、安い業者を選ぶのも有効です。

蓄電池設置の一括見積りで、蓄電池の最安値を確認しながら比較検討しましょう。