現代社会で電気は欠かせないライフラインです。
特に最近の大規模災害による停電への備えとして、蓄電池の設置が注目されています。非常時に電気を蓄えられるだけでなく、太陽光発電と組み合わせれば自給自足も可能です。
中でも、太陽光発電と相性抜群のハイブリッド蓄電池は、効率的に電気を自家消費したり売電したりできるのが特徴です。
本記事では、ハイブリッド蓄電池と一般的な蓄電池の違いや、導入のメリット・デメリットについて解説します。
ハイブリッド蓄電池は一般的な蓄電池とどう違うの?
ハイブリッド蓄電池と一般的な蓄電池の大きな違いは、電気の変換効率です。
実は、太陽光発電で作った電気と、実際に家庭で使われている電気は種類が違います。太陽光発電で作った電気は「直流」、家庭で使われている電気は「交流」です。
つまり、太陽光発電で作った電気を、そのまま家庭のコンセントで使うことはできません。
太陽光発電で作られる「直流」電気は、家庭で使う「交流」に変換しなければなりません。
この変換を行うのがパワーコンディショナー(パワコン)で、太陽光発電システムと蓄電池の両方に含まれています。
つまり、一般的な蓄電池で太陽光発電の電気を貯めるまでに、太陽光発電と蓄電池それぞれの設備でパワコンを使うことになります。
太陽光発電の直流電流をパワコンで交流に変換して、蓄電池のパワコンで直流に変換し直してから蓄電するからです。
しかし、この方式には1つ大きな問題があります。一般的な蓄電池では、太陽光発電の直流を一度交流に変えた後、再び直流に戻して蓄電するため、変換時に電力ロスが発生します。
ハイブリッド蓄電池は、太陽光発電のパワコンと蓄電池のパワコンを1つに合体させた新世代の蓄電池です。
太陽光発電から出力された直流の電気をそのまま貯めるので、変換ロスも少なく、発電した電気を無駄なく活用できるのが特徴です。
ハイブリッド蓄電池を導入するメリット
ハイブリッド蓄電池は、太陽光発電の電気を効率よく貯める以外にも多くの利点があります。
- ニーズに合った電気の使い方ができる
- 停電時も電気を使いながら蓄電できる
太陽光発電と蓄電池をセットで使う生活において、ハイブリッド蓄電池がどのように役立つかを見ていきましょう。
ニーズに合った電気の使い方ができる
1つ目のメリットは、家庭のニーズに合わせた電気の使い方ができることです。
蓄電池を導入する目的や、使い方の重点をどこに置くかは人それぞれ違います。
- 「できるだけ売電収入を多くしたい」
- 「停電時に備えて常にフル充電しておきたい」
- 「なるべく太陽光発電の電力を自家消費したい」
ハイブリッド蓄電池は細やかなモード設定が可能で、各家庭の事情の合わせた電気の使い方をサポートしてくれます。
搭載するモードはメーカーによって異なりますが、メジャーなのは以下のパターンがあります。
- 「蓄電を優先するモード」
- 「売電を優先するモード」
- 「売電・蓄電を効率よく行うモード」
複数のモードから、そのときの状況によって臨機応変に蓄電池の動作パターンを選ぶことが可能ですね!
これも、エネルギーを効率よく使えるので、電気代の節約など経済的なメリットも期待できます。蓄電や放電をまめに操作しなくていい手軽さも魅力です。
停電時も電気を使いながら蓄電できる
2つ目の特徴は、停電時への備えとなることです。
太陽光発電とハイブリッド蓄電池を組み合わせて使う場合、停電時には太陽光発電で発電した電力を変換して家庭で使用し、余った電気はハイブリッド蓄電池へ貯めておくことになります。
太陽光発電は日中にしか電気を作れませんが、蓄電池があれば作った電気を蓄電池へ貯めておくことが可能です。
そのため、発電できない夜や天候不良の日にも電気が使え、停電時でも普段通りに近い生活を送ることができます。
このような優れた特性を持つハイブリッド蓄電池は、様々なメーカーから発売されています。
価格や性能などそれぞれ個性があるので、「タイナビ蓄電池」の一括見積りで自分のライフスタイルに合った製品を比較・検討してみましょう。
ハイブリッド蓄電池を導入するデメリット
ハイブリッド蓄電池の導入にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
- 適切な設置場所を確保する必要がある
- 一般的な蓄電池より価格が高い
ハイブリッド蓄電池を導入する際のデメリットについても詳しく解説します。
太陽光パワコンメーカー4社を価格比較! 交換コストの最安相場は?
適切な設置場所を確保する必要がある
1つ目のデメリットは、設置スペースを用意する必要があることです。
ハイブリッド蓄電池に限ったことではありませんが、蓄電池を設置するためには、ある程度広い空間を確保する必要があります。
蓄電池は屋内型でエアコンの室外機より少し大きく、屋外型はその2倍ほどのサイズが目安です。工事時の作業スペースも考慮すると、十分な広さが求められます。
また、蓄電池を設置する場所については、広さだけでなく、環境も重要になります。蓄電池は湿度や高温、ホコリなどに弱く、適切な環境下で管理しないと故障や劣化につながるからです。
さらに、蓄電池は湿度や高温、ホコリに弱く、環境によっては故障や劣化のリスクがあります。直射日光や湿気の多い場所は避け、屋外設置では重塩害地域などの条件も確認が必要です。
また、蓄電池は重さが70~250kgとかなりの重量があるため、屋内設置の場合は床の耐荷重も事前に確認しておきましょう。
一般的な蓄電池より価格が高い
2つ目のデメリットは、価格です。
ハイブリッド蓄電池は、一般的な蓄電池よりも高価です。
一般的な蓄電池の価格(蓄電容量5kWh)は、工事費等込みで75万~140万円程度で、パワコンの価格は10万~22万円くらいが相場です。この2つを合わせた費用は、85万~162万円程度くらいになります。
ハイブリッド蓄電池を導入したいのであれば、その倍以上の予算が必要です。
例えばパナソニックのハイブリッド蓄電システム「創蓄連携システム(停電時出力100Vタイプ、蓄電容量5.6kWh)」の場合、システムの専用機器だけで185万円。蓄電池とハイブリッド蓄電池では、本体価格の差額だけで23万円~100万円もあることになります。
ただし、ハイブリッド蓄電池は、太陽光発電のパワーコンディショナーを設置しないことによる工事費用の軽減、節電効果と売電量増加などで相殺できる部分もあります。
太陽光発電とセットで購入する際は、ハイブリッド蓄電池と一般的な蓄電池で見積もりを取り、収支を比較しましょう。
ハイブリッド蓄電池と太陽光発電はセットで見積るもの
ハイブリッド蓄電池は、ライフスタイルに合わせて蓄電量などを細やかに調整できるため、売電収入を増やしたい人、電気代節約につなげたい人にもおすすめです。
一般の蓄電池より価格が高い場合もありますが、太陽光発電との相性が抜群で、発電した電気を効率よく使えるため、長期的に見るとお得になる可能性があります。
ただし、蓄電池に太陽光発電システムも含めた費用は、販売業者によって大きく異なるのが実情です。
ただし、蓄電池と太陽光発電システムの費用は業者によって大きく異なるため、慎重な業者選びが必要です。
適正価格で太陽光発電システムや蓄電池を購入するためにも、複数の業者から見積りを取りましょう。
タイナビの一括見積りは、厳選された優良業者のみが参加している無料の一括見積りサービスです。
最適な業者を見つけるためにも、ぜひ活用することをおすすめします。
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