蓄電池は、電気代の節約や電力の自家消費のために役立ちます。
そうはいっても、本当にお得なのかな?
たしかに、蓄電池そのものは決して安くはありません。
導入する際にはまとまった費用がかかり、電気代の節約だけでかかった費用を回収するのは非常に難しいです。
一方で、蓄電池には金銭的な損得だけではなく「蓄電池が使える」ことそのものにも価値があるのです。
この記事では、蓄電池を導入した場合の金銭的な損得と、蓄電池を所持する価値について説明するので、導入を検討するときの参考にしてください。
蓄電池の設置を検討する場合には、「高い」「低い」を判断するだけでなく、「どの蓄電池が最も経済メリットが高いのか」「費用対効果はどうなのか」をしっかり理解することが大切です。
蓄電池の経済効果をより正確に見積りたい方は、ぜひ「タイナビ」が紹介する施工店にシミュレーションを依頼してみてください。
蓄電池は経済面で得なのか?
まずは、経済的な面から蓄電池について解説します。
蓄電池の一般的な価格、節約効果や費用回収について確認し、蓄電池は経済面で得なのかどうかを検証してみましょう。
蓄電池の価格
家庭用蓄電池を導入するときにかかる費用の目安は、本体に工事用を含めて100~150万円程度といわれています。
蓄電池の価格は年々下がってきているので、実のところ今後はさらに安くなっていく見通しです。
蓄電池の価格が下がっていく理由とは何でしょうか。
蓄電池の普及と共に値下がりが実現
家庭用蓄電池には、一般的に「リチウムイオン蓄電池」が使われています。
リチウムイオン蓄電池の1kWhあたりの価格は、2008年~2018年でおよそ半額程度にまで下がってきました。これは、蓄電池が十分に普及してきたことや、技術革新を続けている企業努力によるものです。
過去には蓄電容量が12kWhで370万円の機種もありましたが、今や同じ容量の機種が115.3万円で手に入ります。
必要十分な大きさの蓄電池の値段は、想像よりも安く値下がりしている可能性は十分と言えるでしょう。
オール電化で太陽光発電+蓄電池を導入した時の経済効果
初期投資は必要ですが、電気料金が年々上昇している現状では、太陽光発電と蓄電池の導入による電気代削減効果が大きく、長期的には投資回収が見込めます。
特にオール電化住宅の場合、昼夜問わず安定的に電力を供給できるため、家計への経済的メリットがさらに高まるでしょう。また、余剰電力を売電することも可能で、さらなる収入源としての活用も期待できます。
【太陽光発電の電気を蓄電池に貯めて電気代削減】
日中に太陽光発電で作った電気は、蓄電池に貯めて夜間に使うことで電気代を節約できます。自家発電した電気は無料なので、高騰している電力会社からの買電を減らせる経済効果は高いです。
夜間料金が安いプランに加入している場合は、夜間の電気を蓄電池に貯めて日中に使う方法もあります。いずれにしても、太陽光発電と蓄電池を併用して活用すれば経済効果は高まるでしょう。
【節電した分の再エネ課賦金削減】
太陽光発電で作った電気には再エネ賦課金が課されません。太陽光発電と蓄電池を連携させて節電できれば、その分の再生可能エネルギー発電促進賦課金も同時に減らすことになります。
電気代の節約による費用回収とさまざまなメリットで「得」!
電気代の節約で費用回収ができるなど、さまざまなメリットがある蓄電池はお得なのです。
節約するには主に2つの方法があります。
- 日中よりも安い夜間の電力を蓄電池に貯めて使う
- 太陽光発電と併用し、自家発電した電力を蓄電池に貯めて好きな時間に使用する
節約以外にも蓄電池には後述するメリットがあるので、総合的に判断すればお得といえるでしょう。電気代の節約による費用回収についてもここでシミュレーションしていきます。
電気代が値上がりしても太陽光発電+蓄電池で電気料金0円に
2024年現在、電気代は今までにない値上げ幅になり、再エネ賦課金も年々高くなってきています。
このような状況下でも太陽光発電と蓄電池で自給自足すれば、電気代の高騰を気にせずに過ごすことが可能です。近年、電気の完全自給自足は送電線につながらない「オフグリット」として注目されています。
電気代が高騰しても、電気を自給自足できる経済的なメリットがあれば安心です。
将来を不安視するよりも、再生可能エネルギーを活用できる太陽光発電と蓄電池を併用して自家消費につなげることをおすすめします。
蓄電池導入が損になる可能性がある家庭
2024年現在では、太陽光発電導入と同時に蓄電池をセット購入する方が大半となっています(※タイナビ調べでは約7割)。
それだけの経済効果が期待されているのが蓄電池の導入です。ただし、次のご家庭の場合は損になる可能性もあるので導入前に確認しておきましょう。
【太陽光発電を設置していない家庭】
蓄電池単体の場合、充電された電気がなくなれば電力会社からの高い電気を購入しなくてはなりません。太陽光発電があれば、電気を作ることができない蓄電池のデメリットを補ってくれるのでお得になります。
【家庭での電力使用量が少ない場合】
電気代が安い時間帯のあるプランに加入して蓄電池に貯めても、電気の使用量が少ない場合は余ってしまうため活用できません。費用対効果は低くなってしまうでしょう。
【蓄電池の導入費用が高い場合】
蓄電池は、各家庭の電気の使い方に合わせて蓄電容量や機能を選ぶことが大切です。不良業者に依頼したり価格を比較せずに買ったりすると、高過ぎる蓄電池を導入する可能性があります。
蓄電池の費用を抑えてお得に導入するには、複数の見積もりを比較するのがおすすめです。
節約額で回収できる費用をシミュレーション
ここでは、蓄電池で毎日の電気料金を節約すると、節約額でどのくらいの費用を回収できるかを説明していきます。夜間電力を利用する方法と自家消費の2つの節約方法についてシミュレーションしました。
夜間電力での節約の場合
蓄電池を使って夜間電力を利用した場合の節電シミュレーションの結果は以下のようになります。ここでは、東京電力の電気料金をもとに試算を行いました。
【条件】
東京電力の電気料金で試算
電気使用量:406kWh/月(4人世帯)※総務省統計局の家計調査より
プラン名 | スタンダードプラン | 夜トク8 |
---|---|---|
電気量料金(1kWh) | 30.57円 | 21.16円 ※午後11時〜翌午前7時 |
東京電力の場合、夜間料金はスタンダードプランよりも10円程度安くなっています。このシミュレーション結果では、蓄電池を活用して、1日に使う電気量のすべてを夜間電力でまかなえば、年間4万5千円ほどの節約になることが分かりました。
蓄電池の寿命を15年とした場合、節電で回収できる金額は約68万円になります。蓄電池の導入費用を100万円とすれば、7割弱回収できる計算です。
自家消費での節約の場合
ここでは、蓄電池を活用し自家消費したときの、節電による節約額について解説していきます。
太陽光発電をすでに設置している家庭が、屋根で発電した電気を蓄電池に貯めて使うと、電気代がどのくらいお得になるかをシミュレーションしたものです。(「夜間電力での節約」と同条件)
【条件】
東京電力の電気料金で試算
電気使用量:406kWh/月(4人世帯)※総務省統計局の家計調査より
プラン名 | スタンダードプラン | (自家発電) |
---|---|---|
電気量料金(1kWh) | 30.57円 | 0円 |
1カ月当たりの使用量約406kWhをすべて自家発電した電力でまかないます。蓄電池も活用して昼間発電した電力で生活すれば、年間約14万8千円の節約になることが分かりました。
蓄電池の寿命を15年とした場合、自家発電で回収できる金額は約222万円です。蓄電池の導入費用を100万円とすれば、この試算では7年半程度で費用回収が可能になります。
太陽光発電の売電価格が電気料金よりも安くなっているため、これは設置にかかった費用を回収し終わった家庭に適した使い方といえるでしょう。
節約だけではない!蓄電池のメリット
蓄電池で節約できる費用を中心に見てきましたが、ここでは節約以外の蓄電池のメリットについて説明していきます。
停電時にも安心できるといったメリットや、蓄電池のメリットを最大限に活用するための選び方も参考にしてください。
停電対策としてのメリット
蓄電池のメリットのひとつは、災害時など停電した場合の備えになることです。近年、台風や豪雨などによる停電の被害が相次いで起きたことは記憶に新しいでしょう。
たとえ急な停電が起こったとしても、蓄電池に電気を蓄えておけば、家庭でいつもの家電を使うことができます。
長期停電には太陽光発電を併用したい理由
蓄電池にたくさん電気を貯めておいても、停電が1週間にも及べば途中で充電をしたくなります。
太陽光発電と併用すれば、自家発電した電力を繰り返し貯めて使うことができるので、たとえ停電が長期間続いても電気の心配はほぼありません。
長期停電で問題になりやすい冷蔵庫も、冷凍・冷蔵で保存していた食料を腐らせないで確保しておけます。電気を使う給湯器なら、お湯を沸かして体を清潔に保てるでしょう。
「据え置き型蓄電池」がおすすめ
蓄電池のメリットをより大きくするなら、「据え置き型蓄電池」がおすすめです。ポータブル蓄電池は安いのですが、いざというときに小型家電しか使えません。
据え置き型蓄電池は大型家電でも長時間使うことができ、万一の災害時への役立ち度が高くなります。
たとえば、6.5kWhの据え置き型蓄電池なら、合計1000Wの電化製品を同時に5~6時間ほど使えます。実際に使える電化製品の例を挙げますので参考にしてください。
【合計で1000Wになる電化製品の例】
- 携帯電話充電4台(30W×4)
- LED照明2部屋(50W×2)
- PC(60W)
- 冷蔵庫(150W)
- エアコンの冷房(600W)
据え置き型蓄電池の購入代金はポータブル蓄電池より高いのですが、普段の蓄電量も多いので電気料金を大きく節約でき、初期費用は節約した分で回収できます。
蓄電池は節約+停電対策の価値ある買い物
家庭用蓄電池は、夜間料金プランの利用や自家消費で節電することで、初期費用を回収することができます。災害対策といった節約以外のメリットも得られるので、総合的に見て導入する価値があるといえます。
しかし、電気使用量が少ない家庭や、費用対効果の合わない高額な蓄電池を選ぶと、「損をする」「元が取れない」と感じる人もいるのでしょう。
家庭に必要な蓄電池の容量や種類は、普段の暮らしぶりや電気料金、目的によっても異なるため、シミュレーションしてみないと損してしまう可能性があるのです。
損したくない方は、必ずシミュレーションを元にご家庭にピッタリな蓄電池を提案してくれる販売店を選ぶことをおすすめします。
さらに導入費用を抑える方法を使えば、より納得できる買い物となるでしょう。それには、補助金を活用したり、複数の専門業者の金額を比較して費用を抑えたりすることです。
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