
蓄電池にはメリットが多いと注目されていることから、すでに太陽光発電を設置している家屋に追加で蓄電池を後付け設置しようと検討している人も多いことでしょう。
あとから蓄電池を追加で導入する場合、どんな申請や手続きが必要なのでしょうか。この記事では、蓄電池を後付けしたいと考えている人に向けて、必要な申請と手続きや価格帯を詳しく説明します。
この記事を読むことで、気になる買取価格や補助金についての疑問も解消するでしょう。
蓄電池を後付けする場合には手続きが必要

そもそも「蓄電池の後付け」とは、どのようなケースを指すのでしょうか。念のため確認しておきますと、すでに太陽光発電が設置されている家に、「あとから」蓄電池を設置するケースのことをいいます。
この後付けのパターンの場合には、必要な手続きがあるので必ずしなければなりません。
さらに、既設の太陽光発電との連携を考えて蓄電池を選ばなければならないなどの注意点もあります。次の段落では蓄電池の後付けに必要な3つの手続きについて説明します。
FITの変更認定申請をする

蓄電池をあとから設置する際に必要な手続きは、「FITの変更認定申請」です。この段落では、変更認定申請とは何か、買取期間終了後の手続きや買取価格はどうなるのか、といった疑問について説明していきます。
変更認定申請とは
「変更認定申請」とは、FIT(固定価格買取制度)の認定時に届け出た内容に変更があったときに行う手続きのことをいいます。
太陽光発電システムを設置するときに、発電システムの構成などを申請する設備認定や事業計画認定をしているはずです。蓄電池の後付けは、当時の申請内容に変更が加わることだからです。
FITとは固定価格買取制度のことで、太陽光発電システムの売電価格が保証される制度としてご存知でしょう。FIT認定後に蓄電池をあとから設置するケースでは、「自家発電設備等の変更」に該当するため変更認定申請が必要になります。
変更認定申請の方法
具体的には、「再生可能エネルギー電子申請」のサイトにログインし、「自家発電設備等の設置の有無」という項目で「有」を選択し、種類を「蓄電池」として、設置位置や区分計量の可否を入力していきます。
区分計量の可否とは、蓄電池からの放電で売電する量が計測できるか否かということです。
必要書類は「配線図」。大変な手続きは販売業者に相談を
変更認定申請の手続きをする際には、配線図などの必要書類を添付することになります。専門的な知識も必要なので、自分でできるだろうかと不安になるかもしれません。
しかし、太陽光発電や蓄電池の設置業者、販売業者といった専門業者に相談すれば大丈夫です。代行を依頼することもできるので、利用すればスムーズに手続きが進みます。
認定申請など各種問い合わせ窓口
ほかにも、認定申請についての各種問合せを受け付けてくれる「JPEA代行申請センター」があります。手続きで分からないことは相談してみましょう。
JPEA代行申請センター
FIT買取期間が終わった家庭は手続きが簡単になる

太陽光発電の買取期間が終了したあとでも、申請する必要はあります。
ただし、買取期間終了後から廃止届出が受理されるまでのあいだに蓄電池の設置を行う場合は、「事前変更届出」でもよいことになりました。
事前変更届出は、比較的軽微な変更に適用される申請手続きです。変更認定申請よりも簡単な手続きで済むので安心して手続きを進めてください。
申請しないと売電できなくなるリスクがある

蓄電池を後付けするときに、必要な申請しないとどんなリスクがあるのでしょうか。
確かに、複雑に見える申請について、「手続きをするのは面倒」と思う人も多いことでしょう。しかし、変更の申請は固定価格買取制度のなかに義務付けられた手続きなので、必ず行わなければなりません。
固定価格買取制度で務付けられた手続きを怠った場合、FIT法に基づく指導・助言や改善命令、FIT取消しの対象となるリスクがあります。
これまでにも、提出義務がある定期報告を怠ったとして注意喚起が公開されたケースがありました。不当な儲けを狙う悪質なケースと判断され、罰則が科せられたこともあるのです。
FIT期間中に蓄電池を付けたら買取価格が変わる?

蓄電池を後付けしたら、それまで適用されていた買取価格は変わるのか?という点も気になるポイントです。
FITの買取期間中に蓄電池を設置すると、変更認定申請によってFIT価格が変更となるケースもあります。この場合のFIT価格は、蓄電池を設置して変更認定申請をしたときの価格へと変更されます。
変更となるのは、以下のすべての条件にあてはまるケースです。
【FIT価格が変更になる条件】
- 太陽電池の合計出力がパワーコンディショナの出力より大きい過積載の場合
- 蓄電池を、パワーコンディショナよりも太陽電池側に設置する場合(電力会社の送配電網側ではない)
この2つの条件が同時にすべてあてはまる場合にのみ、変更認定申請時のFIT価格に変更されます。
FIT価格の変更イメージ
たとえば、2018年度に10kW未満のFIT価格である「26円」が適用された世帯が、2020年度に変更申請を行った場合、FIT価格は「21円」に変わります。
蓄電池を後付けしても、すべてにあてはまる案件でなければ、変更認定申請の必要はあるもののFIT価格の変更はありません。FIT価格を変えたくないときは、蓄電池の設置業者とよく打ち合わせておくことをおすすめします。
電力会社との接続契約にかかわる申請

蓄電池をあとから設置する際には、電力会社との接続契約にかかわる申請も必要になるので説明していきます。
太陽光発電システムを設置するには、経済産業省とのFIT制度の契約だけでなく、電力会社との契約も必要になります。電力会社の送配電網に接続する「系統連系」に関する契約は、太陽光発電システム設置時に行っているはずです。
蓄電池の設置に伴う申請手続きは、電力会社ごとに手続きの方法が異なります。接続契約は設置業者が行うケースが大半なので、蓄電池増設に関する変更についても業者に相談し、申請してもらうと良いでしょう。
補助金の申請
ここでは補助金の申請について詳しく解説しますのでチェックしておきましょう。蓄電池をあとから設置する際でも、補助金の申請ができます。設置費用を安くするために、補助金の活用をおすすめします。代表的なものを3つあげるので参考にしてください。
住宅用蓄電池補助金 | 補助金額 |
---|---|
次世代技術構築実証事業費補助金(経産省2022年) | 1kWhあたり3.7万円 |
各自治体の補助金 | 自治体により異なる |
VPP補助金(終了) | 定額1/2以内 |
令和4年度蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金
「令和4年度蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」は、(一般社団法人)環境共創イニシアチブ(Sii)が交付する補助金です。
令和4年度蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金
VPP補助金(終了済み)
「VPP補助金」とは、VPP(バーチャルパワープラント)構築実証事業に関する補助金のことです。VPPとは、家庭や民間企業が持つ小規模な発電施設を、まとめて一つの発電所のように機能させようとする構想のことをいいます。
「小規模な発電施設」のなかに家庭用蓄電池も含まれているので、補助の対象となるのです。
一般社団法人 環境共創イニシアチブ|公募情報(令和2年度「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」について)
自治体の補助金
全国の都道府県、市町村が蓄電システムに対する補助を行っています。蓄電池を設置する家屋がある自治体HPなどで最新情報を調べてください。
3つの補助金のいずれも、予算がなくなり次第受付終了となるため、申請は早めにするのがポイントです。
蓄電池設置する場合の具体的な費用目安は?

2022年度の経産省からの補助金には目標価格以下でないとそもそも補助金がでませんので、その目標価格は15.5 万円/kWh(工事費込み)となっております。
例として10kWhの大きな蓄電池を導入する場合は工事費込みで155万が目標価格となっており、補助金が37万円出る事を考えると最高額でも118万円で設置できる計算となります。
ほとんどの販売店がこの目標価格以下で見積もりを出す事を考えると、これ以下で導入できると予想されます。
蓄電池の後付けは信頼できる業者に任せて安心!

すでに太陽光発電設備を設置済みで、あとから設置する場合、必要な申請は少なくありません。専門用語なども多いので素人には難しく感じるものです。だからといって、申請義務があるものを放っておくわけにもいきません。
そのため、複雑な申請手続きは信頼できる業者に任せてしまうのが安心で簡単な方法です。
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申請についてもそれぞれの業者に相談してみましょう。そのうえ、どの業者が信頼できるか、業者を選ぶための判断材料にもなります。
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