トイレの停電対策

停電が起きると、水道は出るのに水洗トイレを使えないケースがあります。お急ぎでしたら、この記事ではトイレが使えない原因と対処方法について解説しています。

もしも時間がおありなら、停電の長期化とトイレの管理について考えてみてください。2018年の北海道地震による停電は43時間、2019年の台風15号による千葉県の停電時間は、エリアによっては2週間にも及んだといわれています。

自宅避難する場合、トイレを清潔に保つことは健康に直結する重要なポイントです。いつ来るかわからない災害に備えて、今からできる対策をご紹介します。

水道の水は出るのにトイレが流せないとき、チェックする場所

チェック

断水していないのにトイレの水を流せない場合は、流し方をチェックしてください。タンクレスでリモコン式のトイレなどは、停電すると水を流せない場合があります。

手動レバーも付いている製品ならカバーを外して操作することにより水を流せるケースもあります。しかし、レバーがない場合は、便器に水を流し込まなければなりません。具体的なやり方は後ほど説明します。

一方、タンクのレバーを回して水洗するタイプのトイレなら、水道が止まっていなければ停電時でも使用が可能です。

ただし、地震などの衝撃で排水管が破損している時は、トイレの水は流さないようにしましょう。汚水が逆流し、あふれる危険があります。

停電と断水が同時に発生したら、トイレを流してはダメ

停電と断水

停電と同時に断水も発生した場合、電気と水道が復旧してもすぐにトイレの水を流してはいけません。

断水している間に給水管に空気がたまってしまっていた場合、復旧後にいきなり大量の水を流すと「エアーハンマー現象」が発生する可能性があります。空気が圧縮されて給水管に負担をかけてしまい、給水管などの破損や水漏れを起こしてしまうこともある現象です。

エアーハンマー現象を防止するには、水を流す前にエアー抜きをしましょう。

水道が復旧したあと、トイレを流す前に「トイレと同じ給水管」に接続されている水洗金具をゆっくり開けて、内部にたまった空気を逃がすという方法です。

エアー抜きバルブがついていなければ、水栓のバルブをゆっくり開けて空気を抜きます。お風呂や洗面台、キッチンなどが主なチェックポイントです。

停電中のトイレの流し方

トイレ

オール電化住宅のトイレには大きく分けて3つのタイプがあります。停電時や断水時にトイレの水を流す方法はタイプによって異なるため、この段落では各タイプの水洗方法について説明します。

手動レバーがあるタイプ

停電が1日以内の場合は、手動レバーを使うことによって便器の洗浄ができます。この場合は24時間で約20回の洗浄が可能です。4人家族なら1人あたり1日5回、トイレを使えることになります。

停電が2日以上続く場合は、手動レバーだけでは給水できないため、乾電池を装着して水をくみ上げてから手動レバーで水洗することになります。単3のアルカリ電池2個で、約137回の便器洗浄が目安です。

便器洗浄つまみがあるタイプ

便器に「便器洗浄つまみ」が付いているタイプのトイレは、便器洗浄つまみを操作することによって水洗が可能です。

ただし、便器洗浄つまみの位置や操作方法は製品によって異なるので、各製品の取り扱い説明書を確認する必要があります。いざという時に取り扱い説明書を探したり、停電している中で読んだりするのは大変なので、ふだんから確認しておくと良いでしょう。

その他のタイプ

上記の方法で水を流せないタイプのトイレもあります。その場合はバケツを使って水を流すしかありません。

まず、バケツ1杯(5~6リットル)の水を勢いよく流し込み、汚物を洗浄します。汚物がすべて流れても、続けて3~4リットルの水をゆっくりと注ぎ込み、便器内の水位が通常の高さになるようにしましょう。最初の水を流し込んだ状態では、サイホン現象※によりトイレの底の溜め水がなくなってしまい、ニオイを防げなくなるためです。

サイホン現象とは、2つの水槽を管でつないだ場合に管の中が水で満たされると、2つの水槽の水位が同じ高さになろうとする現象です。給水した水槽に水が逆流することになるため、トイレにおいては汚物・汚水とニオイが便器手前まで戻ってきてしまいます。

汚物がうまく流れなかった場合は、再びバケツ1杯の水をよりスピーディーに一気に流し込んでください。

蓄電池で停電時のトイレの問題は解決できる?

蓄電システム

蓄電池とは、電力を蓄えておいて停電時に使用できる装置です。この段落では、蓄電池を使って停電時のトイレ問題を解決できるのかなどについて解説します。

ウォシュレットの種類と使用電力量の目安

前述したように、トイレ製品によっては停電時に水が流れなくなります。同時に、ウォシュレットも使えなくなるのです。ウォシュレットには「貯湯式」と「瞬間式」という2つのタイプがありますが、いずれも意外に電力を消費しています。

以下の表はウォシュレットの消費電力をタイプ別にまとめたものです。

タイプ年間消費電力月間消費電力1日の消費電力
【貯湯式】約238kWh/年約19.8kWh/月約0.7kWh/日
【貯湯式】(節電機能使用時)約168kWh/年約14kWh/月約0.5kWh/日
【瞬間式】約0.5kWh/日約9.5kWh/月約0.3kWh/日
【瞬間式】(節電機能使用時)約88kWh/年約7.3kWh/月約0.2kWh/日

貯湯式はタンクの水をヒーターで加熱し、お湯の状態でためておくタイプです。お湯を作るだけでなく、作ったお湯を保温するためにも電気を消費します。

それに対し、瞬間式はタンクを使用せず、瞬間煮沸器で使用の都度、お湯を作るため、使用電力は貯湯式に比べて少なめです。

蓄電池と太陽光発電で電気を備えられる

停電や災害に蓄電池と太陽光発電

蓄電池と太陽光発電設備を併用すれば電気を自給自足できるため、停電時の備えとして有効です。もちろん、停電時のトイレ問題も解決できます。

日中に太陽光で発電した電力を使用できるだけでなく、使い切らなかった電気を蓄電池にためておけるため、太陽光発電ができない夜間や曇りの日・雨の日でも電気を使うことができるのです。

たとえば、1日当たり1.4Whの電気を使用する場合に7kWhの蓄電池を併設しておけば、太陽光発電ができない場合でも約5日間分の電力を確保できます。

電気で稼働するタイプのトイレも、製品によっては約5日間、問題なく利用できるのです。

停電が長期化したときのトイレ問題を防ぎましょう

停電時のトイレ問題も解決

最近のトイレに多いタンクレスタイプは、停電時にリモコンが使えなくなるため水を流せません。また、ウォシュレットも使えないなど、停電時にはトイレを使うのにも不便を感じることがあります。

しかし、蓄電池と太陽光発電を併用すれば、停電してもトイレや他の電気製品を稼働することが可能になり、災害対策に最適です。

長期停電への備えとして蓄電池や太陽光発電をお得に設置するなら、タイナビ蓄電池の一括見積りを利用してみましょう。