北海道電力の卒FIT

北海道電力は、2019年11月以降にFIT期間を満了する家庭用太陽光発電の余剰電力を買い取ります。売電単価や特典をつけた「卒FITプラン」は2種類が展開されており、中にはポイントが付くプランもあります。

FIT期間が終わった後には、自家消費という選択肢もありますが、どちらがお得になるのか気になるところですよね。

この記事では、北海道電力の卒FIT向けプランを紹介し、年間収支をシミュレーションしてみました。自家消費した場合との比較もできるので、ぜひ参考にしてください。

北海道電力の卒FIT向けプランの比較

【買取プラン】

概要:FIT期間が満了となる太陽光発電の余剰電力を買い取るサービス。2019年11月より順次開始

買取価格8.0円/kWh

特徴的な要素:現時点で余剰電力を北海道電力で買い取ってもらっている場合、FIT期間が満了となった後に契約が新しい買取価格に自動更新となる

【エネモプレミアムプラン】

概要:北海道電力の電気契約者向け「ほくでんエネモール」のポイントサービスを利用する方向けの卒FITプラン

買取価格8.0円/kWh+1エネモポイント/kWh

特徴的な要素:商品との交換や企業ポイントへの移行、寄付などに利用できるポイントが付与される

北海道電力の卒FIT向けプランの詳細・買取条件を紹介

北海道電力は、国が買取価格を保証する「FIT」制度が終わる家庭向けのプランとして、「買取プラン」を始めます。ほかにも、一定の条件を満たせばポイントが貯まる、「エネモプレミアムプラン」も発表されました。それぞれの詳細や買取条件について解説します。

シンプルで手続きも簡単な「買取プラン」

北海道電力は、FIT期間の満了を迎えた顧客に対し、買取契約を継続できる「買取プラン」を発表しました。

太陽光発電による余剰電力の買取価格は8円/kWhで、売電した電力量に応じて毎月支払われることになります。買取プランは、2019年11月から順次買取を開始することになっています。

契約期間はFIT期間が満了となる日の翌日から、翌年4月の検針日の前日までです。卒FITプランは自動更新されるので、面倒な手続きはありません。さらに、このプランは北海道電力以外の電力会社から電力を購入している場合でも利用できます。

「買取プラン」の買取条件は、FIT期間が満了となった後も売電を希望する人で、買取の対象となる電力は、太陽光発電で発電した余剰電力です。

対象エリアは北海道ですが、礼文島や利尻島、天売島、焼尻島、奥尻島などの離島については、買取プランの対象外となるため注意しましょう。

ポイントが貯まる「エネモプレミアムプラン」

北海道電力の電気を利用している場合は、「エネモプレミアムプラン」への加入もできます。このプランの買取価格は、「買取プラン」の8円/kWhに加え、買取電力量1kWhあたり「1エネモポイント」がもらえるシステムになっており、実質的に買取プランよりもお得です。

「エネモポイント」とは、北海道電力の会員制webサービス「ほくでんエネモール」で提供されるポイントサービスのことです。1エネモポイントは1円相当なので、実質9円/kWh相当で売電できることになります。

貯まったポイントは、道産品をはじめとする多様な商品への交換や、北海道内を中心とした企業のポイント移行、寄付金などに利用できます。

エネモプレミアムプランの買取条件は、北海道電力と電気の契約をしている人で、さらに「ほくでんエネモール」のポイント会員であることです。そのほかの条件については、買取プランと同じとなっています。

北海道電力へ売電する場合の年間収支シミュレーション

シミュレーション

次に、年間収支のシミュレーションで各プランがどれくらいお得かをチェックします。北海道電力へ余剰電力を売電したときに、年間の収支はどのくらいになるのかを把握しておきましょう。

ここでは、太陽光発電の容量は4.5kW、年間の余剰電力を3150kWhとしたケースを想定して試算します。北海道電力の電気料金プランを基準にした場合に、自家消費で節約できる金額も計算しました。

余剰電力量は、太陽光発電の設置状況や天候など様々な要因で変化しますのでご注意ください。

「買取プラン」で売電する場合

買取プランで太陽光発電の余剰電力を売電する場合の、年間シミュレーションの結果は以下のとおりです。

【条件】

  • 太陽光発電の容量4.5kW
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)
  • 買取価格8.0円/kWh

買取プランでの売電収入は、1年間で25200万円、1カ月で2100円という結果になりました。

余剰電力を売電せず、すべて自家消費した場合

【条件】

  • 太陽光発電の容量4.5kW
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)
  • 北海道電力の従量電灯Bを基準にした場合

電気代の節約額は、1年間で約86293円、1カ月で約7191円という結果になりました。

買取プランを利用して売電した場合と自家消費の差額は、年間で約61093円になりました。1カ月にすれば約5091円の差額になります。このシミュレーションの結果からは、太陽光発電で発電した電気は、すべて自家消費するほうがお得になることがわかりました。

「エネモプレミアムプラン」で売電する場合

エネモプレミアムプランで売電する場合の年間シミュレーションの結果は、以下のとおりです。

【条件】

  • 太陽光発電の容量4.5kW
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)
  • 買取価格9.0円/kWh相当(8.0円+1円相当ポイント/kWh)

比較しやすいように、ポイント分も円に換算して表示しています。その結果、エネモプレミアムプランでの売電収入は1年間で約2万8400円相当、1カ月で約2400円相当という結果になりました。

余剰電力をすべて自家消費した場合

【条件】

  • 太陽光発電の容量4.5kW
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)
  • 北海道電力の従量電灯Bを基準にした場合

電気代の節約額は、1年間で約8万6300円、1カ月で約7200円という結果になりました。

エネモプレミアムプランでの売電と自家消費の差額は、年間で約5万8000円、1カ月にすれば約4800円となりました。買取プランよりは差額が少なくなるものの、やはり自家発電のほうがお得といえるでしょう。

各プランの売電収入と自家消費した場合を比較

北海道電力へ太陽光発電の余剰電力を売却した場合と、自家消費した場合の収支について、以下の表にまとめました。

プラン年間売電収入自家消費相当額差額
買取プラン25200円86293円61093円円
エネモプレミアムプラン28350円86293円57934円

このように、余剰電力を売電した場合と自家発電に回した場合を比較すると、自家消費するほうが年間6万円ほど多く節約できることが分かりました。

卒FIT後は自家発電に切り替えることも検討しよう

北海道電力の卒FITプランは、シミュレーションにより自家発電で節約できる金額のほうが大きいことがわかりました。これを踏まえて、売電するよりもお得な自家発電に回し活用することを検討したいものです。

自家発電で発生した電力を有効活用するには蓄電池の設置がおすすめです。ただ、初期費用が高くなるのでは、とためらう人も多いかもしれません。その場合は、補助金の活用や一括見積りなど、初期費用を抑える工夫が必要です。

FIT期間の満了後は売電収入が大きく減ることが予想されるため、少しでも余剰電力による経済的メリットが得られる方法を検討していきましょう。