卒FIT

東北電力は2018年に暮らしのトータルサービス「より、そう、ちから。+One」を発表しました。その中で、FIT(固定価格買取制度)が期間満了する、家庭用太陽光発電を設置している顧客向けサービスとして「ツナガルでんき」を提供しています。

この記事では、今後の太陽光発電のお得な利用方法を考えるために「ツナガルでんき」の4つのプランについて詳しく解説します。

東北電力の電気プラン(ツナガルでんき)卒FITプランを比較

東北電力の「ツナガルでんき」の4つの卒FITプランを紹介します。

【シンプル買取】

プラン概要:電気が買い取られた翌月に、口座へ代金が振り込まれるプラン。プラン利用料金はかかりません。

卒FIT後の買取価格9.0円/kWh(税込)

特徴:余剰電力を東北電力が買い取るシンプルなサービスで誰でも加入可能。首都圏(東京電力管内)の家庭も売電契約できます。

【シンプル買取+リースサービス(エコキュート)】

プラン概要:エコキュートのリースサービスと卒FIT売電を併用するプラン。リースサービスは標準工事付き・機器のみの2パターンから選択できます。

卒FIT後の買取価格(シンプル買取)9.0円/kWh
10年リース 月額料金(工事付き)6000円〜

特徴:太陽光発電の電気でエコキュートのお湯を温めることができるが、エコキュートのリース料が発生します。余った電気は売電できます。

【シンプル買取+リースサービス(蓄電池)】

プラン概要:蓄電池(6.5kWhタイプ)のリースサービスによる蓄電と卒FIT売電を併用できるプラン。

卒FIT後の買取価格(シンプル買取)9.0円/kWh
10年リース 月額料金(工事付き)14000円〜

特徴:昼間に溜めた電力を夜間に使用できるが、蓄電池のリース料が発生します。余った電気を売電できます。

【でんきお預かりサービス】

プラン概要:太陽光発電の余剰電力を東北電力に預けたと見なし、実際に使った電力量から差し引きして電気代を節約する仮想蓄電プラン。

卒FIT後の買取価格9.0円/kWh
サービス月額料金6980円

特徴:月額料金が発生します。電気代の差し引きについて、離れた家族のお宅も選択可能です。

東北電力の卒FITプラン内容や加入条件など詳細

この項では、上記で紹介した東北電力の4つの卒FITプランの詳細と加入条件について、それぞれのプランごとに詳しく解説します。各プランの特徴をおさえて卒FIT買取の参考にして下さい。

【シンプル買取】は誰でも加入しやすい基本プラン

シンプル買取のプランは、太陽光発電による発電の余剰電力を9円/kWh(税込)で買い取ってもらうプランです。買取分の金額は、翌月に指定口座に振り込まれます。

発電量が少ない夜間や曇りの日などは、東北電力から電気を購入できるため電気が足りない心配はありません。

加入できるのは、東北電力以外に売電している東北エリアの世帯と、首都圏の世帯(関東地方の1都6県と山梨県、静岡県の一部地域)です。また、関東エリアから東北電力の卒FITプランを契約する場合は、東北電力の首都圏向け料金プラン「より、そう、でんき」へ加入する必要があります。

【シンプル買取+リースサービス】のエコキュートは発電した電気でお湯を沸かして有効利用できる

エコキュートは、電気でお湯を沸かす設備です。今までは料金が安い深夜にお湯を沸かしてガス代を節約するのが一般的な使いかたでした。これを、太陽光発電でお湯を沸かすことで、もっと安い電気でお湯を沸かせるようになります。

卒FITの売電単価が安ければ、売るよりも自家消費がお得です。昼間に太陽光発電の電気を使い切るように給湯設備を工夫するのも、自家消費量を増やして得する方法のひとつなのです。

なお、東北電力のリースサービスは卒FITのシンプル買取と併用しますので、どうしても余ってしまった電気があれば9円/kWhで売電できます。FITが終わった太陽光発電の電気を、全く無駄にせず活用できるということですね。

加入条件として、東北電力との電気の契約が必要となります。対象エリアは、東北6県および、新潟県(離島を除く)の計7県です。さらに、エコキュートのリース料が毎月6000円程かかりますので、エコキュートを買うかリースするかが悩みどころになるでしょう。

【シンプル買取+リースサービス】の蓄電池は電力の有効利用や災害時の電力の備えができる

シンプル買取+リースサービスのプラン(蓄電池)は、蓄電池で電力の有効活用と停電への備えを可能にします。リースサービスを使うと、初期費用をかけずに蓄電池が使えるようになります。

蓄電池を使うと、昼間に発電した電気をためておき、発電のない夜間や災害時の非常用電力として備蓄することができます。余った電気は、9円/kWhで売電することができますので、卒FITの太陽光の電気が無駄になりません。

しかし、蓄電池のリース料が毎月14000円ほど必要になります。長い目で見れば、蓄電池を買っておくほうが得になるでしょう。

【でんきお預かりサービス】は電気を通帳に貯める感覚で有効利用

でんきお預かりサービスは、いわゆる仮想蓄電サービスです。蓄電池を設置せずに電気を貯めて、節約に使えるというサービスです。太陽光発電の余剰電力を東北電力に預けると、その電力と同じ量だけ翌月の電気使用量から差し引いて電気代を節約できます。

仮装蓄電サービスとは言っても、手元に電気を貯めておくわけではないので、停電時に預けた電気を使えません。月額6980円の利用料金についても、よく検討しておくべきでしょう。

東北電力のでんきお預かりサービスならではの特徴は、電気を貯めておける上限がないことと、節約対象になる家庭を「自宅」「離れて暮らす家族」から選べることです。

  1. 家族シェアプラン:東北電力に預けた電気で、離れて暮らす家族の電気代を節約できます。
  2. セルフプラン:預けた電気は契約者自身が節約に利用できます。

差し引く電気はひと月に300kWhまでで、これを超えた分は翌月に繰り越されます。最終的に余った電力は「シンプル買取」と同じく1kWhあたり9円で売電することになります。

【加入条件】

加入条件は、FIT期間を終了した家庭用太陽光発電設備を保有していることと、「よりそうeねっと」に加入済みで、検針票をWebでのお知らせに切り替えていること。東北電力が指定する契約種別により需給契約を締結していることなどがあります。

対象エリアは、東北6県および新潟県(離島を除く)です。

年間収支をシミュレーション

この項では、実際に東北電力の卒FITプランについて、年間収支をシミュレーションした結果を紹介します。発電量は、太陽光発電の容量4.5kWhで年間想定発電量4500kWh(JPEAの数値基準)としています。実際には、太陽電池の方位や傾斜角度によって発電量が異なったり、消費量も月によって波があったりするので参考程度にお使いください。

シンプル買取

【条件】

  • 太陽光発電の容量4.5kWh
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)

シンプル買取プランですべて売電した場合と、余剰電力をすべて自家消費した場合の年間収支を比較します。

シンプル買取プランですべて売電した場合

買取価格9.0/kWhで年間の売電収入は約28350円(2362円/月)となります。

余剰電力をすべて自家消費した場合 ※従量電灯B利用

実質年間節約額は約70069円(約5839円/月)です。

シンプル買取プランで売電するよりも、すべて自家消費した場合のほうが、年間でおよそ4万2千円程お得になる計算になります。

シンプル買取+リースサービス(エコキュート)

【条件】

  • 太陽光発電の容量4.5kWh
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)

シンプル買取+リースサービス(エコキュート)の年間収支を見てみましょう。

シンプル買取+リースサービス(エコキュート)で全量自家消費した場合 ※従量電灯B利用

太陽光発電の自家消費による実質的な節約額は、年間で70069円(5839円/月)です。一方、エコキュートのリース料金が年間72000円(月額6000円の場合)かかるので、差し引きすると一年に1930円の支出が必要になります。

たったこれだけの支出でエコキュートが使えればお得とも言えますが、エコキュートの価格次第では、購入したほうが家計にとって長期的にプラスになる可能性もあります。

相見積もりによる価格調査と、リース利用料を比較してから検討しましょう。

なお、シンプル買取で全ての余剰電力を売ると、年間収入は28350円です。単純に収支を比べると、自家消費のほうがお得です。

シンプル買取+リースサービス(蓄電池)

  • 太陽光発電の容量4.5kWh
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)

蓄電池リースですべて売電した場合と、余剰電力をすべて自家消費した場合の年間収支を比較します。

シンプル買取+リースサービス(蓄電池)で全量自家消費した場合 ※従量電灯B利用

太陽光発電の自家消費による実質的な節約額は、年間70070円(5839円/月)です。一方、蓄電池のリース料金が年間で168000円(月額14000円)かかるので、差し引きすると一年に97930円の支出があります。

この場合、10年間契約した場合の総支出は約97万円にもなります。もっと安く蓄電池を購入・設置できる可能性がありますので、相見積もりによる価格調査をおすすめします。

シンプル買取で余剰電力をすべて売ると、年間収入は28350円です。シンプルに収支を比べれば自家消費のほうがお得です。

でんきお預かりサービス(セルフプラン)

  • 太陽光発電の容量4.5kWh
  • 余剰電力3150kWh(月間262.5kWh)
  • 利用料金は月額6980円
  • 預けられる電力量の上限なし
  • ひと月に充当できる上限は300kWh
  • 上記超過分は最終的に9円/kWhで買取り

お預かりプランですべて売電した場合と、余剰電力をすべて自家消費した場合の年間収支を比較します。

お預かりプランで電気料金を節約した場合 ※従量電灯B利用

年間の節約額は81468円(6789円/月)ですが、サービス料金が毎月かかります。差し引きで一年に2292円の支出が発生します。

自家消費との差は年間で約72362円(約6030円/月)となり、自家消費した方がお得です。

各プランの年間収支一覧

プラン総合収支(年)自家消費相当額(年)差額
シンプル買取プラン28350円70069円41729円
でんきお預かりサービス(セルフプラン)-2292円70069円72361.5円
※太陽光発電の容量4.5kWhで年間想定発電量4500kWh(JPEAの数値基準)で計算した場合

卒FIT後はやっぱり自家消費がお得!蓄電池を相見積もりでお得に購入しよう

東北電力の卒FITプランについて紹介しましたが、それぞれ余った電気を売電できたり、エコキュートや蓄電池をリースで使用できたり、電気を預けたりなど、さまざまなプランを選ぶことができます。しかし、収支からみても分かるように、卒FIT後は自家消費が断然お得です。

効率的な自家消費には蓄電池が必要になります。リースだとトータル金額が高くなるため購入してはどうでしょうか。蓄電池の購入を検討する際は、タイナビ蓄電池の一括見積りを利用してみてください。複数社の金額を比較して安く購入しましょう。