卒FIT

四国電力株式会社は、FIT(固定価格買取制度)の買取期間が終了する人を対象に、余剰電力の買取サービスを始めました。

一般的に、電力会社に余剰電力を買取してもらうためには蓄電池が必要です。四国電力の新サービスには、蓄電池の設置がなくても余剰電力を買い取ってもらえるプランもあるので、太陽光発電の余剰電力も無駄になりません。

この記事では、四国電力の卒FITプランである「ためトクサービス」や「買取プラン」について紹介します。卒FIT後のお得な選択肢の中から、目的に合ったプランはどれなのかを検討し選んだ上で活用していきましょう。

四国電力の卒FITプランを比較

【買取プラン】

プラン概要:太陽光発電からの余剰電力を買い取り、買い取ってくれた料金は、毎月指定口座に振り込みをしてくれる。

卒FIT後の買取価格7.0円/kWh

・特徴的な要素:毎月買い取った余剰電力を電気料金から割引をするケースが多い中、現金化して口座に振り込んでくれるサービスは特徴的。

【ためトクサービス】

・プラン概要:預かった電気相当分(最大150kWhまで)の電気料金を割引。超えた余剰電力は8.0円/kWhで買い取り、相当分を電気料金からさらに割引する。1契約につき、2700円の利用料金がかかる。

卒FIT後の買取価格8.0円/kWh

・特徴的な要素:太陽光発電の余剰電力を使って節約できる。自宅に蓄電池を設置しない仮想蓄電サービス。

四国電力の卒FITプランの加入条件

四国電力の卒FITプランである「買取プラン」と「ためトクサービス」の、加入条件と詳細について紹介します。

電力会社が余剰電気を一旦預かる「ためトクサービス」のシステムなど、それぞれのプランには異なる特徴的なサービスや加入条件があります。プランの内容を把握してから、利用したいプランの加入条件を満たしているのかを確認しましょう。

買取プラン

「買取プラン」の詳細と加入条件について下記にまとめました。従来のように、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備で発電した電力のうち、余った分を買取するプランです。

【詳細】

太陽光発電からの余剰電力を、四国電力が7.0円/kWhで買取するプランです。

買取料金は、利用者が指定した口座に毎月振り込まれます。これまで四国電力に余剰売電していた家庭については、卒FIT後に自動的に移行するため改めて手続きをする必要はありません。このプランでは、風力発電設備など太陽光発電以外の再生可能エネルギー設備でも加入対象になります。

【加入条件】

一部の地域を除く香川・愛媛・徳島・高知の四国4県で、太陽光発電設備を設置して売電をしていたことが条件です。

毎月の電気使用量や請求額は、「よんでんコンシェルジュ」での案内となります。無料で登録できてポイントも貯まるお得なサービスです。

固定価格買取制度による電力の買取期間が終了していることも条件です。

仮想蓄電の【ためトクサービス】

ためトクサービスの詳細と加入条件については以下の通りです。「ためトク割」や「割増買取割」の詳細もあわせて確認しておきましょう。

【詳細】

太陽光発電設備などからの余剰電力を四国電力が預かり、預かった最大150kWhまでの電気相当分の電気料金が割引されます。超えた余剰電力は8.0円/kWhで買取を行い、相当分を電気料金からさらに割引するシステムです。

ただし、ためトクサービスを利用するには、1カ月ごとに税込2700円の利用料金がかかるので、割引額やサービス内容全体で利用価値があるかを判断する必要がありそうです。

【加入条件】

再エネ発電設備からの余剰電力を、四国電力に供給することが条件になっています。さらに、時間帯別電灯、季節別時間帯割電灯、おトクeプラン、でんかeプラン、いずれかのプランに加入している必要があります。

また、毎月の電気使用量や請求額は、「よんでんコンシェルジュ」での案内となるため登録しておくといいでしょう。固定価格買取制度による余剰電力の買取期間が終了していることも条件です。

年間収支をシミュレーション

四国電力の卒FITの各プランの収支について、具体的なシミュレーションを行いました。以下を参考にして、四国電力の各プランを利用する際のイメージをつかんでみてください。

ここでは、太陽光発電の容量を4.5kW、年間想定発電量を4500kWhとした場合の年間収支を算出します。お得になるポイントはどこなのかを、しっかり押さえておきましょう。

買取プラン

買取プランの年間収支についてのシミュレーションは、以下の通りです。

【条件】

太陽光発電の容量を4.5kW、売電量(自家消費分を除いて余剰売電に回せる電力量)が3150kWhの場合を条件とします。

【買取プラン年間収入目安】

買取価格7.0円/kWhとした場合には、1カ月あたりの売電収入は約1800円、年間売電収入は約2万2000円になります。

【余剰電力を全て自家消費した場合の電気料金 節約額を試算】

四国電力おトクeプランの場合、実質節約額は1カ月あたり6176円、年間74115円になります。

四国電力の卒FIT太陽光発電は、できる限り自家消費をしたほうがお得ということが分かりました。買取プランの想定売電収入と、全量を自家消費することによる実質的な節約金額には、年間で約5万2000円もの差が出ます。

確かに、太陽光発電の電気をすべて自家消費するには蓄電池が必要です。しかし、年間5万円以上の電気料金の節約額があることや、30年間と長寿命であることから、万が一への備えも含めると、蓄電池を購入することは金額だけでは判断できません。

さらに、一括見積りで初期費用を安くすることで、ほとんどの負担は軽減できる可能性が高いでしょう。

ためトクサービス

ためトクサービスの年間収支についての具体的なシミュレーションは、以下の通りです。

【条件】

太陽光発電の容量を4.5kW、売電量(自家消費分を除いて余剰売電に回せる電力量)を3150kWh(1カ月あたり262.5kWh)とします。

【ためトクサービス 年間収入目安】

電力会社から電気を買うときのプランに「おトクeプラン」を選んだと仮定します。

ためトクサービスは150kWhまでの余剰電力を仮想蓄電し、電気料金から割引できます。仮想蓄電できる150kWhを上回った電力(112.5kWh)は、ためトクサービスの「割増買取割」によって1kWhあたり8円で売電できます。実質的な節約額と売電金額から、仮想蓄電サービスの利用料(月額2700円)を引いて、総収支を出してみましょう。

ためトクサービスによる1カ月の金銭的メリットは1454円です。仮想蓄電サービスによる電気代の割引は3000円を超えるものの、毎月の利用料が大きな負担になってしまう結果となりました。

【余剰電力を全て自家消費した場合の電気料金 節約額を試算】

四国電力おトクeプランで全量自家消費をした場合、実質的な節約額は1カ月あたり約6000円、年間で約7万5000円です。

自家消費と仮想蓄電サービス利用時でお得な金額の差は、年間でおよそ5万8000円になります。やはり、自家消費した方がお得と言えるでしょう。

各プランの年間収支一覧

プラン名年間売電収入自家消費相当額 ※差額
買取プラン22050円74115円52065円
ためトクサービス
(おとくeプラン契約時)
17448円75486円58038円

※ 同じ量の余剰電力を自家消費したときに節約できる電力量料金の金額

どのプランを利用しても、自家消費するほうが5~6万円程度お得になります。

卒FIT後は自家消費がお得!蓄電池を活用しよう

四国電力の卒FITプランには、余剰電力を引き続き売電する方法や、ためトクサービスのように仮想蓄電するという活用方法があります。売電価格が他の卒FITサービスと比較しても高くないため、蓄電池を設置して自家消費する方が四国電力ではお得と言えるでしょう。

蓄電池を設置することで災害対策も兼ねることもできますが、購入・設置費用がネックですよね。注目の仮想蓄電サービスは国内全体でも新しいため、内容を理解するのが難しいと感じるかもしれません。

仮想蓄電池は、蓄電池を買わないで済むため購入費用は抑えられます。ただし、月額料金がかかり続けるため、長期的には損になってしまう可能性もあります。

一方で、蓄電池は30年近く活躍できる機種も多いため、これを寿命いっぱいまで使うなら蓄電池を買ったほうがお得です。

初期費用を少しでも安くするためには、タイナビ蓄電池の相見積もりというお得な方法があるのでぜひ利用しましょう。