蓄電池と電気自動車どっち

蓄電池の購入を検討するときには、電気自動車も選択肢の一つになります。電気自動車なら蓄電池としてだけでなく乗り物としても使えるため、コスパがいいように感じるかもしれません。

ただし、電気自動車を使うタイミングや時間帯によっては不便になる可能性も出てくるので、よく考えてから導入する必要があります。

どちらを購入するか迷ったときには、各家庭のライフスタイルに合った選択をすることが必要です。今回は、電気自動車と蓄電池を比較し、蓄電池としてどちらがいいのかを解説します。

蓄電池と車を兼ねる 電気自動車のメリット・デメリット

電気自動車

電気自動車(EV)とは、電気のみで動く自動車のことです。ガソリンを使わないので、環境へ影響を与えるガスなどの排出もありません。家庭に充電設備があれば、家庭用蓄電池としても使うことができる便利な自動車といえます。

電気自動車をメリット、デメリットの両面から見ていきましょう。

電気自動車のメリット

電気自動車に搭載されている蓄電池は、一般的な家庭用蓄電池(5.0~7.0kWh程度)よりも容量が大きいです。

蓄電容量が多いことは、たくさんの電気を貯めておけるため、家庭用蓄電池よりも長く家電を使えるということです。日産リーフなら、40kWhや62kWhのバッテリーを搭載する車種があります。

オプションの「可搬型EVパワーコンディショナ」をつければ、移動式の大容量蓄電池としても使うことができます。たとえば、ニチコンの「パワー・ムーバー」はEVのバッテリーから電気を取り出して家電に電気を送ることのできる、トランクに入るサイズの給電器です。

さらに、電気自動車を定置式の蓄電池として、家中の家電に使うこともできます。その際は、EVのバッテリーから取り出した電気を家で使えるようにする、「V2Hシステム」が必要です。

電気自動車はガソリン車よりも走行コストが安いというメリットもあります。同じ距離を走る場合で比較すると、電気代はガソリン代の6分の1程度しかかかりません。太陽光発電で得られた電気を使えば、さらに電気代も抑えられます。

電気自動車のデメリット

EVパワーステーション

電気自動車は、本体価格が高いことがデメリットとして挙げられます。環境に優しいことは理解されながら、普及は進んでいません。

また、電気自動車はガソリン車に比べると、長距離走行に向いていない点もデメリットになるでしょう。充電スポットが少ないため、外出先での充電に困ることがあります。補給の計画性が必要で、見知らぬ場所へのドライブには不向きです。

自宅前に車を停めるスペースがない場合は、蓄電池として利用できないというデメリットもあります。蓄電池として利用するために必要な「EVパワーステーション」を設置すると、さらに費用がかかってしまうでしょう。

自動車として使用する場合や、車検などで外出している間は家庭用蓄電池として使えません。通勤などに毎日車を使うときは、蓄電池として使える時間は少なくなってしまいます。

住宅用に特化した利便性! 蓄電池のメリット・デメリット

家庭用蓄電池と電気自動車

家庭用蓄電池は、電気自動車よりも容量が小さいのですが、災害時や電気代の節約に有効です。ここでは、家庭用蓄電池のメリットとデメリットを解説していきます。

蓄電池のメリット

>蓄電池のメリット

家庭用蓄電池を導入するメリットとしては、電気自動車よりも本体価格が安いことが挙げられます。

常に万が一の災害などで停電した場合には、非常用電源として使えるという安心感が得られるでしょう。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、電気代を節約できることも大きなメリットです。太陽光発電設備がない場合や、設備があっても発電量が少ないときにも、電気代の安い夜間電力を蓄電池に貯めて電気代を節約できます

蓄電池のデメリット

蓄電池のデメリット

家庭用蓄電池のデメリットは、電気自動車よりも一般的に容量が小さいので、長時間の使用ができないことです。

また、本体価格が20万円/kWhと、1kWhあたりの価格が電気自動車より高くなることもあります

たとえば、「日産リーフNISMO」は1kWhあたりの価格が10万円程度なので、必ずしも電気自動車のほうが高いとはいえません。

国は、蓄電池の導入促進のために、1kWhあたりの価格を下げることを目標に掲げており、着実に価格低下が進みつつあります。

購入時に相場価格よりも高額な契約を避けることも、コストパフォーマンスを上げるための重要な工夫です。

 

電気自動車と蓄電池のスペックを比較してみよう

比較

電気自動車と蓄電池は、容量や寿命、価格も比較したうえで、どちらがよいのかを検討してみましょう。

購入価格で比較

購入価格で比較

価格で比較した場合には、電気自動車は220万円台~1000万円以上、家庭用蓄電池は80万円台~160万円台が主な価格となっています。購入時の価格としては、家庭用蓄電池のほうが安いことが分かります。

蓄電容量に差があるため1kWhあたりの価格で比較すると、電気自動車のほうが安くなるケースもあります。車と家で電気を行き来させる「V2Hシステム」には、40~180万円程度の追加費用がかかります。

補助金

補助金

電気自動車と蓄電池、どちらも国や自治体による補助金制度が利用可能です。それぞれの補助金はどうでしょうか。

電気自動車には、2019年度「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金(CEV補助金)」による、最大40万円の補助金制度があります。東京都の「2019年度助成対象自動車の購入で最大30万円」など、地方自治体による補助金制度もあります。

家庭用蓄電池には、「2019年度災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」があります。東京都の例では「2019年度最大60万円」、または「1kWh当たり10万円補助」などの地方自治体による補助金制度もあります。

補助金の金額や対象は、年度により異なるケースがあります。据え置き型蓄電池と電気自動車では、それほど大きな差はない模様です。

https://www.tainavi-battery.com/library/666/

電気自動車と蓄電池 蓄電容量を比較

24kWh~62kWh日産リーフ
75kWh~100kWhテスラ
10.5kWh~16kWh三菱自動車工業 i-MiEV
2kWh〜12kWh定置型蓄電池

家庭用蓄電池の容量は一般的に4kWh前後、超小型のもので2kWh、最大クラスで12kWh程度です。電気自動車は、ほとんどの蓄電池よりも容量が大きいことがわかるでしょう。

電気自動車と蓄電池 寿命を比較

バッテリーの寿命

バッテリーの寿命とは、充電と放電のサイクルを重ねると蓄電容量がじわじわ減っていくことで、メーカーが規定するサイクルを超えたときに交換が推奨される(寿命を迎える)ことです。

大容量のバッテリーで屋外を走り回る電気自動車と、毎日あるていど決まったリズムで電気を使う・貯めるライフサイクルを繰り返す蓄電池では、サイクル回数の重ね方が異なります。

年数で比べるなら、家庭用蓄電池のほうが寿命が長いことが分かります。

電気自動車
走行距離で考えると10万キロでバッテリー交換が必要とされる。
寿命は5~8年。
家庭用蓄電池
6000~1万2000回サイクルが寿命とされる。
1日1.5回充電した場合、10~20年程度の利用が可能。

電気自動車の蓄電容量は大きく、家庭で使う電力量であれば、毎日充電しなくても大丈夫です。

家庭用蓄電池よりもサイクル数が少ないバッテリーでも、十分に家電が使える可能性があるわけです。

電気自動車の寿命

ただし、屋外に駐車するときの気候や急速充電がバッテリーに負荷をかけてしまい、家庭に据え置きした蓄電池よりも早く劣化してしまうケースもあります。

  • リチウムイオンバッテリーは外気温が高すぎるか、低すぎると寿命が縮む
  • 電気自動車の走行モードや急速充電の使い方で寿命を縮めるケースもある

家電の買い替え時期など、将来的な見通しをしっかりしておきたい方なら、家庭用据え置き型蓄電池を選択するほうが良いでしょう。

車のついでに使える、予備のような蓄電池を持つなら、電気自動車で蓄電ライフにトライしてみるのが良いですね。

災害時にはどちらが便利?電気自動車と蓄電池の利便性を比較

災害時

次に、災害時の利便性を比較してみましょう。

電気自動車は容量が大きいため、災害時で停電した場合でも家電を長い時間使えます。バッテリーから電力を取り出すオプション設備は準備しておくべきでしょう。

家庭で電力が確保できなくても、電力供給できる設備が近場にあれば、車で移動して電気をもらいに行くこともできます。

V2Hシステム

電気を車と家で連携するための「V2Hシステム」を導入すれば、太陽光発電との連携も可能です。自宅で発電した電気を電気自動車にためて、非常時に活用できるのです。

系統連携型V2Hの価格は、40~180万円程度なので参考にしてください。

家庭用蓄電池の災害時

家庭用蓄電池には、停電時に自動的に蓄電池から給電できるシステムもあります。突然の災害時に停電が起こっても、あわてる必要がありません。

太陽光発電と併用すれば、停電が続く中でも電力を確保することが可能です。

https://www.tainavi-battery.com/library/734/

太陽光発電と組み合わせるとメリットが大きいのはどっち?

太陽光発電と電気自動車と蓄電池

それでは、太陽光発電と組み合わせるなら、電気自動車と蓄電池ではどちらのメリットが大きいのでしょうか。

電気自動車を太陽光発電と組み合わせると、余った電気を充電でき燃料費を抑えられます。

太陽光で発電した電力を電気自動車に貯めることで、家庭用電気としても使えるでしょう。ただし、日中に通勤などで自動車を使う場合は、太陽光発電での充電はできません。

蓄電池を太陽光発電と併用すれば、太陽が出ていない時間帯でも蓄電池に貯めた電気で自家消費ができます。さらに、太陽光発電と蓄電池、両方のパワーコンディショナをセットにできる蓄電システムもあります。

このシステムには、電気の変換ロスが少なく、効率的に電気が使えるというメリットもあるので参考にしましょう。

電気自動車を昼間に自動車として使っていると、太陽光発電による充電ができないため、蓄電池としての役割が果たせないというデメリットがあります。

どちらのメリットが大きいのかを判断するには、家庭ごとのライフスタイルによるところが大きいといえます。

昼間に自動車を使うなら蓄電池は据え置き型がおすすめ

据え置き型の蓄電池

電気自動車は、基本的に自動車として使っている間は家庭での充電はできません。太陽光発電と組み合わせて電気を賢く使うなら、日中に充電できるかどうかという点もポイントです。

日中に自動車を使うことが多い場合は、蓄電池を導入して太陽光発電と組み合わせ、電気を効率的に使うことを検討しようではありませんか。

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